YouTube、TikTok、Twitter、Instagram、Twitch、Discordーー。ソーシャルメディアはクリエイターたちの活躍の場を一気にグローバルへと広げました。
それだけでなく、最近ではあらゆるタイプの課金サービスプラットフォームが整備されたことで、クリエイターたちはそうした媒体を駆使し、お金を得ることもできるように。
現在「クリエイター・エコノミー」と呼ばれる経済圏には、5,000万人の(自称)クリエイターたちが参加し、そのうち200万人は数千万円代の報酬を得ていると言われています。
これは単なる一過性のトレンドなのか。それとも、時代の変化とともに働き方が完全に変わってしまったのか――。社会の変化を照らし合わせながらクリエイター・エコノミーについて考察してみたいと思います。
「クリエイター・エコノミー」とは
「クリエイター・エコノミー」とは、クリエイターたちが自分たちのスキルや創作物をシェアし、マネタイズすることで形成される経済圏を指します。
今となっては当たり前である、インターネットやシェア文化がなかったころは、限られたマスメディアとのつながりがなければ、大勢に向けたコンテンツ発信は不可能でした。しかし、インターネットの登場とともに(的確にはウェブ2.0)この状況は一変。個人は自分の作りたいものを作り、公開し、世界中に届けることができる自由を手に入れました。
こうした変化とともに、現代のデジタル社会ではほかにも「ギグ・エコノミー」、「アテンション・エコノミー」、「シェア・エコノミー」など、新しい経済圏がどんどんと形成され、これらは相互的に影響し合っています。
クリエイター・エコノミーの歴史は産業革命から
どのような経済形態にも、必ずなんらかの産業が基盤として影響しています。クリエイター・エコノミー誕生の歴史は、インターネット以前、「産業革命」にまでさかのぼることができるのです。
まず、産業とそれぞれの革命は、大きく分けると現在に至るまで4つのフェーズを経てきました。
第一次産業革命(農業・林業・水産業など)
18世紀から19世紀にかけてイギリスを中心に起こった生産プロセスの機械化。今までは人間や動物を使用して手動で生産していたものが、工場での機械化へ移ったことでより専門化された生産が可能になりました。
第二次産業革命(エネルギー資源・製造業)
19世紀から20世紀にかけて工場の技術が発展したことで大量生産が可能となり、生産効率が大幅に向上。この時期に電気が開発され、情報通信の基盤となるラジオや電話などが発達しました。
第三次産業革命(サービス・通信・小売)
20世紀後半には機械の自動化が進められたのと同時に、コンピューターによってこれらの作業がさらに効率化されました。圧倒的な交通の自由、貿易の自由化、インターネットの構築によってグローバル化が加速。労働も世界中に分散化され、効率化とコスト削減が推進されるようになりました。
第四次産業革命(情報通信・知識)
現在がこのフェーズです。IoTやAIをあらゆる産業に応用していくことで、ロボット化とさらなる自動化を加速させ効率を図る動き。インターネット上でのクラウドへの動きは、情報や社会自体がさらにネットワーク化されていく未来を示しています。また、これらの技術を発展させるための知識集約産業が盛んになっています。
これらの産業革命は同時に経済形態にも変化をもたらしましたが、クリエイター・エコノミーの基盤となっている現代のデジタル社会は、第四次産業と呼ばれる情報通信をもとにした知識集約産業がベースとなっています。
第一次や第二次産業革命の時代は、人々が物理的な生産を行うことで対価を得ていました。しかし、第二次後半から第三次産業革命にかけては、グローバル社会における消費がサービスや金融など、目に見えない産業が主となり消費経済が形成。そして現在、情報通信を駆使してスキルや専門性をサービスとして提供する知識経済が主流となり、クリエイター・エコノミーもこの経済と産業のうえに形成されました。