PALTEK、5Gネットワークで通信可能な4K映像伝送リファレンスデザインを開発 実証試験に成功

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2021/05/11 06:00

 PALTEKは、第5世代移動体通信システム「5G」により4K映像を伝送するリファレンスデザインを開発し、実証試験に成功したことを発表した。

 リファレンスデザインは、ザイリンクス社が提供する「Zynq UltraScale+MPSoCZCU106評価キット」(以下、ZCU106評価キット)とTelit Wireless Solutions社(テリットワイヤレスソリューションズ、以下、Telit社)の5G対応通信モジュール「FN980」により構成されている。これにより、5Gネットワークを活用した4K映像伝送でサービス構築を検討するユーザーの開発効率化を支援することが可能となる。

製品・機能概要

 同社は、5Gネットワークを活用した画像伝送のプラットフォームを顧客に提供することを目的に、同プラットフォームを開発。ユーザーは同プラットフォームに必要な機能を追加することができ、構想されている製品コンセプトの実現およびその動作確認を迅速に実現できる「PoC」として活用することが可能となる。ユーザーでの必要機能追加を容易にするために、ロジック部分のデザインはザイリンクス社提供のリファレンスデザインを活用し、汎用性の高い構成となっている。また、Linuxベースのソフトウェアで動作させることで、AIなどの機能実装にも活用することができる。

全体構成

 同プラットフォームのハードウェア構成は、ザイリンクス社の「ZCU106評価キット」、Telit社の5G対応通信モジュール「FN980」およびHDMIによる画像入力により構成されている。画像エンコードはH.265/HEVCを、伝送プロトコルはSRTプロトコルを使用している。

ZCU106評価キット

 ZCU106評価キットでは、4KカメラからHDMIで入力された4K30fps画像をフレームバッファに取込み、MPSoCEV Device特有の機能である「Video Codec Unit」を用いてH.265/HEVCフォーマットでエンコードする。その後、エンコードされた画像データをMPSoCに搭載されているArmプロセッサにてソフトウェア処理を行い、SRTプロトコルを用いて伝送する。ロジック部分のデザインはザイリンクス社が提供しているZCU106評価キットのリファレンスデザインを使用し、その制御はArmプロセッサ上のLinuxに実装されたGStreamerを使用している。

Telit FN980 5Gモジュール

 FN980はTelit社の5G Sub-6GHz周波数帯対応M.2通信モジュールで、NTTドコモの相互接続性試験を完了した製品。FN980とZCU106評価ボードはUSB3.0で接続(HostはZCU106に搭載されているMPSoC)されており、USB3.0を介してデータ通信を行っている。

実証試験について

 同プラットフォームおよびNTTドコモの5G SIMカードを用いて、SRTプロトコルで4K画像伝送試験を実施した。SRTはシステム上、送信もしくは受信がGlobal IP Addressを持つ必要がある。そのため、今回の試験ではカメラ側(4Kカメラ+ZCU106評価キット+Telit社 FN980)からH.265/HEVCでエンコードした信号を5Gネットワークのアップリンクで送信、受信側を当社グループ会社のエクスプローラが持つGlobal IP Addressに向けて横浜市内の5Gネットワークから画像伝送を実施した。

 結果として、画像の伝送レート①1Mbps、②10Mbps、③20Mbpsと実施し、安定した画像受信を函館で確認した。

※伝送レート②③は数分間程伝送し、その伝送レートの平均近似値とする
※今回の実証試験では、送信中はカメラを移動させずに試験を行っている

今後のローカル5GにおけるPALTEKの取り組み

 同社グループでは、今後の成長市場と見込まれるローカル5G関連市場に対して、コアネットワーク、基地局、端末向けのハードウェア提供を行うだけでなく、端末の受託開発やユーザーのサービス開発・提供を支援するためソリューションを提供していく。