スマートフォンのカメラがもたらした新しい価値観と体験から学ぶ、UX向上のヒントとは

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 今回のテーマはスマートフォンの「カメラ」。解説するのは、デジタルプロダクション「factory4」でアプリやさまざまなIoTプロジェクトのUIUXデザインを手がける新谷友樹さんです。

 こんにちは!株式会社Cosmowayが組織するデジタルプロダクション「factory4」のUIUXデザイナー新谷です。今回は私たちにもっとも身近なテクノロジーであるスマートフォンの「カメラ」にフォーカス。技術進化がユーザーに何をもたらしたのかを考察し、UX向上のヒントを探ります。

 スマホで写真を撮ることはが日常的に珍しいものではなくなり、今やカメラは私たちの身体の一部のような存在になっていると思いますが、スマホに、いや、ガラケーと呼ばれる携帯電話にカメラ機能がついたのはいつのことだか、皆さん覚えていますか?

世界初のカメラ付き携帯電話

 世界初のケータイカメラは日本で誕生しました。22年ほど前、1999年9月に発売された京セラ製のDDIポケット端末(現・ウィルコム)の「VP-210」です。インカメラのみ搭載されており、テレビ電話用に開発されたのが始まりです。

出典:VP-210 - Wikipedia

出典:VP-210 - Wikipedia

 2000年11月に登場したJ-フォン(現ソフトバンクモバイル)のシャープ製端末「J-SH04」は爆発的にヒット。携帯電話のカメラ普及のきっかけともなった象徴的な端末となり、当時のCMもとても印象的でした。

出典:シャープ「モバイルカメラ付き携帯電話|商品ヒストリー」

出典:シャープ「モバイルカメラ付き携帯電話|商品ヒストリー」

 携帯の背面にカメラのレンズが付き、自撮りもできるようにレンズの横に小さなミラーが設置されていました。さらに「J-Sky」に対応した機種同士では撮影した写真をメールに添付して送ることができるように。現在でも「写メ」というワードを耳にすることがあるように、これが「写メール」の誕生です。

 

 そして個人的には「写メール」という言葉の響きに「キャッチーさ」を感じました。このようなシンプルで印象深い名前を付けたことが、新しいサービスや概念にユーザーを惹きつける一因だったと思います。携帯でメールを送るという日常のストーリーから紐づいた発想・開発が大きなヒットにつながったのではないでしょうか。

パーソナライズ化が進み飛躍的にUXが向上した

 常時持ち歩く携帯電話にカメラが搭載されたことで、意識してカメラを持ち出さなくても、いつでも写真が撮れるように。気軽にいつでも撮影ができ、撮った写真をその場で見たり確認するだけでなく、ネットワークやクラウドを通じて保存したり、離れた場所にいる人たちにも送信・共有することができるようになりました。

 今では想像がつきませんが、カメラが携帯電話に搭載されるまでは、写真を撮るという行為は、目的を持ってカメラを持ち出した人たちのものでした。一眼レフカメラやコンパクトカメラ、写ルンですなどトイ系のカメラなどがそれにあたります。

主流となったスマートフォンとそれを支えた技術的進化 

 2008年以降、iPhoneやAndroid搭載のスマートフォンの発売で市場が一気に変化。各キャリアはこぞってスマートフォンの発売を開始していきます。ネットワーク環境も整備されはじめ、急速なカメラ機能の進化やSNSの普及、日本で主流となっているLINEといったコミュニケーションツールの登場などにより、スマートフォンはユーザー体験の面でもより生活に身近で便利なツールへと変わっていきました。

 なかでもSNSによって「写真を撮る」というアクションがより一般的に、パーソナルを表現するひとつの重要な要素として認識されるようになりました。そしてそれは、アイデンティティにも影響を与え始めます。

テクノロジーの進化とともに共鳴してきたカメラアプリ

 カメラ機能は端末などのプロダクト、テクノロジーの進化とともに、共鳴しながら進化してきたと言えるでしょう。

 振り返ってみると、たとえば日本でスマートフォンが普及するきっかけとなった「iPhone 3G」は2008年に発売され、物理的なボタンからタッチスクリーンに進化。それにともないカメラアプリもひとつの大きな転換期となっていきます。画質の向上はもちろん、画面の大きさやタッチパネルが進化することで視認性やインターフェースが大きく変化し、よりカメラとしての機能性が向上していきます。

 今や写真を撮る行為は日常の一部となり、「その撮影したデータをどうするか」というアクションが重要となっています。自分で撮影したものをどう表現するか、そしてどう扱うかなどにも多様性が求められているのです。たとえばInstagramやTikTokといった、より刺激的な体験を得るためのアプリやプラットフォームが連動することで、相互に進化してきています。

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