目指すのは「温泉を中心としたリゾートパーク」 青木氏が上場会見で語った、クラシコムの根幹とは

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2022/08/05 19:15

 株式会社クラシコムは、株式会社東京証券取引所より、同社株式の東京証券取引所グロース市場への新規上場が承認されたことを受け、東京証券取引所への上場日の2022年8月5日(金)に兜倶楽部会議室(東京証券取引所内)にて記者会見を開催。株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏、株式会社クラシコム 取締役 佐藤友子氏が登壇し、事業内容や現在の業績動向、今後の見通し、成長戦略などについて説明を行った。

 冒頭で青木氏は、創業のころから一貫して追い求めているビジョン「フィットする暮らし、つくろう」を「自分の暮らしを自分らしいと感じて満足できている状態」と表現。そのうえで「自分たちの事業活動を通じて、お客さまにお届けするさまざまなコンテンツやその商品すべてで、それに触れた方が一歩でも二歩でもこの『フィットする暮らし』に近づいていただけるよう、一貫してアウトプットをしてまいりました」と今までの取り組みを振り返った。

 続いて収益面は「基本的には増収増益を重ねており、2016年ごろから一貫し15%ほどの経常利益を計上しながら成長を続けている」と説明。ビジネスとしてはD2C事業やブランドソリューション事業で収益をあげているとしながらも、もっとも重要なのは、事業活動の中で生み出されるコンテンツ、あるいは事業活動の中で醸成されるブランドイメージなどの積み重ねによって蓄積される「カルチャーアセット」であると強調した。

「コンテンツや事業活動によるブランドイメージが積み重なって生み出される魅力的な世界観、そしてそれにもとづいた魅力的なコンテンツを受け取り続けたい方々を増やしていく。つまり、SNS、YouTubeやアプリ、メルマガ、ウェブを通じて、コンテンツを受け取り続けるためのパーミッションを我々にくださる状況をつくるということです。このカルチャーアセットと結びつく『エンゲージメントチャネル』という土台のうえでD2Cやブランドソリューションを展開することが、我々の収益性の高さを支えるひとつの強みとなっています」

 また同社におけるクリエイティブについては、「我々の事業のパワーの源泉で、もっとも重要なポイント」であるとの認識を示し、大きな特徴としてクリエイティブの大半を内製していること、そしてそれをクリエイティブの経験者によってではなく、社内でクリエイターを育て、コンテンツを作っている点にあるとした。

 さらに今まで、動画や映画、アニメーション、音楽などさまざまなパッケージのコンテンツを制作してきたことにも言及。「代表的なコンテンツパッケージでまったく触ったことがないものはほとんどなくなってきている」と振り返り、次のように続けた。

「作ったものがないものは何かと考えると、ゲームくらいではないかと思います。今後ゲームを作るかはわかりませんが、我々は、まさか自分たちがつくると思わなかったものをつくる、そしてお客さまにしっかり喜んでもらえるものにしてお届けすることで成長してきた会社です。まさかこんなものを作るとは思わなかったけれど作ったものを見てみたら、たしかに今のお客さまに喜ばれるものだったというような、良い意味の驚きをもっていただけるコンテンツを模索していきたいと思っています」

(左)株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏、(右)株式会社クラシコム 取締役 佐藤友子氏
(左)株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏、(右)株式会社クラシコム 取締役 佐藤友子氏

 今後の成長については「ビジネスライン、カルチャーアセット、エンゲージメントチャネルの3つの層それぞれをしっかりと拡張、進化させていくことに尽きる」とコメント。ライフカルチャープラットフォームという土台の上で親和性のあるビジネスを展開できることが強みだとしたうえで、第3、第4のビジネスラインを展開していくためのアクションを模索していきたいとの考えを明かした。

「我々の事業の根幹は、土台を拡張させていくことにすべてがあると考えているため、より魅力的なカルチャーアセットを積み上げていくためにも、これからもコンテンツにはしっかりと投資をし、よりお客さまに喜んでいただけるコンテンツを継続的に出していきたいと考えています。そしてそれがひいては、我々にパーミッションを渡してくださり、コンテンツを受け取り続けてくださる方を増やしていくことにつながっていく。エンゲージメントチャネルのなかでは、現在とくにアプリが成長しており、この領域もさらに伸ばしていきたいと考えています」

 最後に青木氏は、今後目指す姿のイメージを「温泉を中心としたリゾートパークのようなもの」と表現。次のように締めくくった。

「魅力的な世界観を醸成するコンテンツ、あるいは商品などによって世界観という温泉をわかせ、この温泉につかりたいと思うかたがいろいろなチャネルを通じてここに集まっていらっしゃる。その体験が良ければ良いほど、たとえば本当の温泉であれば、長く滞在するために旅館というビジネスモデルが生まれ、素敵な体験の思い出を持ち帰りたいというニーズがあれば事業機会としてお土産屋が生まれるように、魅力的な世界観に浸りたいというお客さまをこの場にたくさん集めることで、さまざまな事業機会が生まれていくだろうと考えています。

そのような魅力的なリゾートパークのようなものによって、さらに多くのお客さまに喜んでいただき『フィットする暮らし、つくろう』というミッションを推し進めていきたいと思っています」