AIとテクノロジーの進化から紐とく、ウェブマーケターとデザイナーの歴史[1990年代〜2000年代前半編]

AIとテクノロジーの進化から紐とく、ウェブマーケターとデザイナーの歴史[1990年代〜2000年代前半編]
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 2022年8月以降、テキストを入力するとそれに沿った高いクオリティの画像を⽣成するAI「Midjourney」や「Stable Diffusion」が大きな話題となっています。本連載では、こういったAIをはじめとしたテクノロジーの進化が今後のウェブマーケティングや広告クリエイティブに及ぼす影響や、その変化に対応していく方法などについて、ガラパゴスの代表取締役 中平健太さんが解説します。第1回〜第3回では、フィリップ・コトラー氏が提唱したマーケティング論にもとづき、これまでAI・テクノロジーの進化により変化してきたマーケティング、そしてウェブマーケターやデザイナーの歴史を振り返ります。初回は、ウェブマーケティングの概念が生まれた1990年代〜2000年代前半についてお伝えします。

各回のテーマ(予定)

  • 第1回:AI技術・テクノロジーの進化により変化を迫られてきたウェブマーケターとデザイナー(1990年代〜2000年代前半)
  • 第2回:AI技術・テクノロジーの進化により変化を迫られてきたウェブマーケターとデザイナー(2000年代後半〜2020年頃)
  • 第3回:AI技術・テクノロジーの進化により変化を迫られてきたウェブマーケターとデザイナー(2020年代〜)
  • 第4回:今後のウェブマーケティング・広告クリエイティブに影響を与えるAI技術
  • 第5回:ウェブマーケターとデザイナーが知っておきたい、これからの時代に磨くべきスキル

1990年代、社会的に大きな影響を与えたできごと

 マーケティングは社会的なできごとや消費者動向により進化していきますが、「マーケティング」の概念が確立したとされる1950年代は、企業主導で「製品管理中心」のマーケティングに、1970年〜80年代は消費者ニーズをより意識した「顧客管理中心」のマーケティングへと進化してきたと言われています。

 そして1990年代、マーケティングに大きな変化を及ぼしたできごとのひとつに、インターネットの商用化と民営化があります。日本では1992年に初めてインターネットサービスプロバイダがサービスを開始し、1995年のWindows95発売から徐々に一般ユーザーにもインターネットが普及。コンピューターのネットワーク化は、すなわち人のネットワーク化をも実現し、クチコミなどによる情報伝達の広がりが促進されるように。消費者の信頼は「企業」よりも「ほかの消費者」へと移っていきます。

 一方社会情勢に目を向けると、世界的な市場の二極化(成熟と貧困)、環境破壊や天然資源の希少化などの問題がより深刻になっていました。

ネットの普及で大きく変化した消費者と“精神への訴えかけ”が求められた企業

 インターネットの普及により推進されたもののひとつがグローバル化です。世界のあらゆる国、企業や個人間の情報交換が可能になったことで、相互に結びついた経済を生み出すことができるようになります。情報を得られるようになった消費者は、世界的な貧困・環境の持続可能性などに関する意識や関心が高まっていきました。

 そして企業は、こういった消費者たちから「文化的な意味」「世界をより良い場所にしようとする信頼性」を求められるようになり、消費者の“精神”に訴えかけるマーケティングを行う必要に迫られました。この段階は「エモーショナルマーケティング」とも表現され、スターバックスの「サードプレイス」やアップルの「クリエイティブな想像力」などはその好例でしょう。「環境に良い」「ECO(エコ)」などのワードを用い、「社会的責任を果たしているブランド」と自らを表現する企業も登場しました。つまり、「ブランド」と「ポジショニング」と「差別化」のバランスがとれた三角形を目指す必要が生じたのです。

 そこで、それらを完全なものにするためのフレームワークとして新たに提唱されたのが、「3iモデル(ブランドアイデンティティ、ブランドインテグリティ、ブランドイメージ)」です。ブランドアイデンティティとは、ブランドを消費者のマインド内にポジショニングすることを、ブランドインテグリティは差別化により主張を現実のものとし、企業として誠実であり続け、消費者の信頼を醸成することを指します。そしてブランドイメージとは、消費者のエモーションをつかむこと。この時代の消費者にとっては、この三角形が完成している企業こそ、意味を持ち続けることができると考えられたと言われています。

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