クリエイターエコノミーとは? 主な収入源や課題について解説

クリエイターエコノミーとは? 主な収入源や課題について解説
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2022/10/22 00:00

 クリエイターエコノミーとは、どういう意味を持つ言葉なのでしょうか。クリエイターエコノミーを形成する要素やクリエイターの主な収入源、課題について詳しく解説します。

 かつて、クリエイターといえば、画家や小説家、映画監督、作曲家など、特定の表現者を対象とする言葉でした。しかし近年は、インターネットやデジタルメディアが発達し、素人であってもパソコンやスマートフォンを使ってコンテンツおよび商品を制作できる環境になっています。みんながクリエイターになれる時代ともいえるでしょう。

 そこで登場してきたのが、「クリエイターエコノミー」という概念です。この記事では、クリエイターエコノミーの意味や形成する要素のほか、クリエイターの収入源、課題について解説します。

クリエイターエコノミーは、個人のクリエイターによる表現活動で形成された経済圏のこと

 はじめに、クリエイターエコノミーの意味について確認しておきましょう。クリエイターエコノミーとは、個人のクリエイターがみずからの表現で収入を得ることによって形成された経済圏のこと。

 クリエイターエコノミーを形成するクリエイターとしては、YouTuberやインスタグラマー、ゲーム配信者などが代表的です。それ以外にも、個人のアーティストやデザイナー、ジャーナリスト、音声SNSの配信者などが含まれます。

クリエイターエコノミーを形成している3つのカテゴリー

 クリエイターエコノミーは、次の3つの要素によって形成されています。それぞれの特徴を紹介しましょう。

メディアプラットフォーム

 メディアプラットフォームとは、YouTubeやインスタグラム、TikTokなど、コンテンツを制作して配信するための機能を備えたサービス全体を指す言葉です。コンテンツを配信するためのプラットフォームとしてはYouTubeがもっとも有名ですが、ほかにも写真の共有や音声配信など、新しいメディアプラットフォームが生まれています。

 それぞれのメディアプラットフォームには、コンテンツを発信するための便利な機能が備わっており、クリエイターのビジネスを支えています。ただし、プラットフォーム側の機能やアルゴリズムの変更が、時としてクリエイターの活動や収入に影響を与えることもあるでしょう。

インフルエンサーマーケティング

 インフルエンサーとは、TwitterやインスタグラムといったSNSにおいて多数のフォロワーを抱え、大きな影響力を持っている人物のことです。そのインフルエンサーに商品やサービスを宣伝・PRしてもらうことでユーザーへアピールし、購入へとつなげていく手法が、インフルエンサーマーケティングです。

 インフルエンサーの中には、ファッションや旅行、食べ物、ITガジェットなど、得意なジャンルを持つ人物がいます。PRしたい商品・サービスと合致するインフルエンサーに依頼すれば、情報がターゲット層に届きやすく、売上にもつながるでしょう。

ユーザーや消費者が直接課金するサービス

 近年は、クリエイターとユーザー・消費者が直接つながり、「月◯◯円」など金額を設定して直接課金するサービスが増えています。具体的には、クリエイターがユーザーからの支援を募るクラウドファンディングサイトや、クリエイターが制作したコンテンツを配信し月額課金で収益につなげるサービスなどが挙げられます。

クリエイターの主な収入源

 クリエイターエコノミーを形成するクリエイターたちは、どのようにして収益を得ているのでしょうか。クリエイターの主な収入源を5つご紹介します。

購入型クラウドファンディング

 購入型クラウドファンディングとは、資金を集めたい企業や個人クリエイターとユーザーおよび支援者をつなぐサービスです。クリエイターは起案者として、クラウドファンディングサイトに商品やサービスの詳細を登録します。一方、その情報を見たユーザーおよび支援者は、お金を払うことで商品やサービスを受け取ります。商品やサービスの機能を紹介するだけでなく、クリエイターが思いを伝えて資金を集めることができる点は、クラウドファンディングのメリットです。

投げ銭

 投げ銭とは、ファンからコンテンツを制作したクリエイターへお金を送るシステムです。もっともポピュラーなものが、動画配信プラットフォームで使われる投げ銭です。配信者(クリエイター)は、ファンから直接応援を受けることができるため、モチベーションアップにつながります。また、ファンも応援している気持ちを、ダイレクトに配信者へ伝えることができるというメリットがあります。

月額課金(サブスクリプション)

 月額課金は、「月◯◯円」といった金額を設定し、ファンがクリエイターを継続的に支援する手法で、サブスクリプション型ともいわれます。課金している人しか見られない限定コンテンツを配信すれば、ファンとのエンゲージメントを高めることにもつながるでしょう。

eコマース、ライブコマース

 eコマースとは、クリエイターが制作した作品や商品、デジタルコンテンツなどをネット上で販売する方法です。最近では、商品やサービスの詳細をライブ配信で解説し、リアルタイムでユーザーからの質問に回答しながら販売するライブコマースも盛んに行われています。

広告、アフィリエイト

 動画やブログなどのコンテンツを制作・配信し、そこに広告を掲載することで収益を得ているクリエイターもいます。たとえばYouTubeには、一定の基準をクリアした配信者に対して、広告収入が得られる権利を与える仕組みがあります。また、コンテンツ上に掲載された広告経由でユーザーが商品やサービスを購入した場合に、売上の一部が報酬としてクリエイターに還元されるシステムであるアフィリエイトを活用して、収入を得ているクリエイターもいます。

クリエイターエコノミーにおける3つの課題

 クリエイターエコノミーは近年、急速に発展しています。その一方で、クリエイター間の格差やカルト化などの課題も生じています。クリエイターエコノミーにおける3つの主な課題を解説します。

クリエイター間の格差が大きい

 多くのプラットフォームでは、収益が一部の人気クリエイターに集中しています。つまり、トップレベルとそれ以外のクリエイターでは、収入面での格差が大きいのです。誰もが成功し大きな収益を得られる形が理想ですが、実際にそうはなっていません。

市場が飽和し、競争が激化している

 クリエイターエコノミーへの注目度が高まるにつれて参入するクリエイターも増えているため、一部のマーケットやプラットフォームでは飽和状態になっています。また、芸能人や有名人の参入も増えていることから、個人のクリエイターは戦いづらい環境になりつつあります。すでに、SNSなどでフォロワーを多数獲得している芸能人・有名人が今後市場を独占してしまうとなると、アマチュアクリエイターが対抗して収益を得ようとするのはなかなか難しいでしょう。

クリエイターおよびファンがカルト化する

 一部のクリエイターおよびそのファンがカルト化しつつあるという問題も浮上しています。日本のオンラインサロンも、「カルト宗教っぽい」と指摘されることがあります。カルト化したクリエイターおよびファンが、負の影響を及ぼすのではないかという点も懸念されています。

クリエイターエコノミー市場は今後も広がっていく?

 購入型クラウドファンディングや投げ銭、eコマース、広告、アフィリエイトなど、クリエイターが収益を得る方法は増えています。クリエイターエコノミー市場は、これからも広がっていくのではないでしょうか。

 その一方で、クリエイター間の格差や市場の飽和化、カルト化への懸念など、課題も浮上してきました。クリエイターエコノミーがどのように変化していくのか、今後の動向に注目しましょう。