Googleがクラウドゲーム「Stadia」を閉鎖
一般的にハイクオリティ画面(4K・60FPSなど)でゲームをプレイするには、ハイスペックで高価なハードウェアが必要となる。これが制約となり、高負荷処理が必要なゲームは、ユーザー数を大きく伸ばすことができない。
この問題を解決する手段として注目されているのがクラウドゲームだ。高負荷処理が必要なゲームであってもクラウド上で処理するため、ユーザーはインターネットに接続さえしていれば、ハイスペックなハードウェアなしで、ゲームをプレイすることが可能となる。
クラウドゲーミングは比較的新しい領域であり、任天堂やソニーなどの老舗ゲーム企業に加え、Microsoft(Xboxクラウド)やAmazon(Luna)などのテック大手、さらにはロジテックやNetflixなどさまざまな業種の企業が進出、または進出を計画する市場となっている。ゲーム市場の中でもコンソールやモバイルゲームとは異なる特徴を持つクラウドゲームだが、多くの企業では依然試行錯誤が繰り返されているのが現状だ。
そんな中、2019年にクラウドゲームサービス「Stadia」を開始したGoogleが、同サービスを閉鎖することを発表した。鳴り物入りで開始された新事業であったが、サービス利用者の伸び悩みを理由に閉鎖されることが決定したという。
Googleの公式発表によると、Stadiaの閉鎖時期は2023年1月18日。Stadiaコントローラーなど関連するハードウェアを購入した利用者は、返金を申請することができる。
Stadia閉鎖に対する海外メディアの反応
このStadiaの閉鎖報道を受け、海外のビジネス/ゲームメディアではさまざまな議論が展開されているが、起こるべくして起こったとする論調のものが多く散見される。
アメリカの主要テックメディアのひとつ「The Verge」は2022年9月末に公開した「Google Stadia never mattered, and it never had a chance」と題する記事の中で、Stadia事業の終焉は2021年はじめにすでに始まっていたと指摘している。
Stadiaがローンチされたのは2019年11月。クラウドを介し、いわゆる「AAA」ゲームを多数のユーザーに提供することで、ゲーム市場においてソニーやマイクロソフトに並ぶことを目標としていた。AAAゲームとは、ゲーム業界で使われる非公式の格付けで、大規模な開発チームや予算を要するゲームのことを指す。こうしたゲームは一般的に大手ゲーム開発企業が長年かけて開発を行う。
一方Googleは2019年、自社スタジオを複数立ち上げ、インハウスでもStadia向けのゲームを開発する方針を発表。開発部門を率いる責任者として、ゲーム開発大手Electronic ArtsとUbisoftでの経験を有するジェイド・レイモンド氏を抜てきした。Electronic ArtsとUbisoftは2社ともAAAゲームの代表格として名が挙がる企業。この人選からもGoogleはStadia向けに大規模なゲーム開発を目指していたことがうかがえる。
またStadiaの長期目標として4K・60FPS以上を超える8K・120FPSでのクラウドゲームサービス提供も示唆されていたとの報道もあり、大規模かつ高画質なゲームの開発が大きな目標であったことがみてとれる。
注目を浴びたGoogleのゲーム開発部門だが、2021年2月に閉鎖されることが明らかにされたのだ。