3DCGを独学で習得するには? 必要なものや独学のメリットを解説

3DCGを独学で習得するには? 必要なものや独学のメリットを解説
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2022/11/27 00:00

 3DCGを独学で習得するには、どうすればいいのでしょうか。3DCGが活用される場面や勉強するにあたって必要なもののほか、独学のメリット・デメリットについて解説します。

 3DCGは、ゲームやアニメ、VTuberといったエンターテインメント業界だけでなく、建築や医療など、さまざまな業界で活用されています。また、活用場面の広がりとともに、就職や転職に向けて3DCGを学ぼうと考える人も増えているようです。

 しかし、「3DCGを学ぶのは難しそう」「そもそも、どうやって勉強すればいいの?」「独学でも習得できるの?」といった疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

 この記事では、3DCGが活用される場面や独学で習得する方法のほか、勉強する際に必要なもの、独学のメリット・デメリットについて解説します。

3DCGとは、3次元空間で描くコンピューターグラフィックスのこと

 3DCGは、3 Dimensional Computer Graphicsの略で、日本語に訳すと「3次元の空間で描かれるコンピューターグラフィックス」となります。2次元のCGでは、縦と横の空間、つまり「面」でしか表現することができません。一方、3DCGでは、縦と横に加えて奥行きを使うことができます。2次元のX軸とY軸にZ軸が加わることで、3次元空間での表現ができるのです。

 3DCGを活用することで、3次元上で立体物を作成したり、アニメーションによって動かしたり、色を塗ることで質感をリアルに表現したり、光を照らして影を作ったりすることができます。ただ、最終的には画像または映像にしなければならないため、3次元から2次元に変換する作業が必要です。これを、3DCG制作の現場では「レンダリング」と言います。

3DCGが活用されている場面

 3DCGが活用されている場面といえば、ゲームやアニメ、映画を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実際には、それ以外でも多くの場面で活用されています。

 例えば、建築業界は3DCGが活用されている業界のひとつです。最近では、3D描画処理や物理演算などをあらかじめ組み込んだゲーム用のソフトウェアであるゲームエンジンを使って、建物や街づくりを再現するケースも増えているようです。コンピューター上に現実と同じ立体モデルを再現し、建物づくりに活用していく仕組みである「BIM」(Building Information Modeling)においても、3DCGが使用されています。

 また、VR(Virtual Reality:仮想現実)や MR(Mixed Reality:複合現実)の世界では、自分自身だけでなく、目に見えるものすべてがモデリングされています。人や物の動きをデジタルデータにする技術であるモーションキャプチャーを使った演出においても、3DCGは必要不可欠です。そのほか、医療の現場でも、3DCGの活用が広がっています。

3DCGを勉強するための3つの方法

 3DCGについて勉強する場合、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、代表的な3つの方法をご紹介します。

1.本を読んだり動画サイトを見たりして、独学で勉強する

 初心者はCG関連の専門用語など、わからないことが多いはずです。そのため、まずは3DCGの基礎から体系的に学ぶ必要がありますが、最もシンプルな方法は、3DCGについて解説している本を読むことです。画面キャプチャーを使って、ビジュアル的に説明している本を選ぶのがおすすめです。

 また、YouTubeなどの動画サイトにも、3DCGの制作に関する動画が多数アップされています。動画であればよりわかりやすく、何度も見返すことができるので、より実践的な学びにつながるでしょう。

2.通信教育やオンラインスクールを受講して学ぶ

 最近では、3DCGを学べる通信教育やオンラインスクールが増えてきました。独学に比べるとお金はかかりますが、移動時間がなく、いつでもどこでも学べる点はメリットといえます。なかには、自分の作品を添削してくれたり、就職に向けてサポートしてくれたりするオンラインスクールもあります。

3.CGスクールや専門学校に通う

 CGに特化したスクールに通うのも、3DCGを学ぶ方法のひとつです。スクールに通う手間や費用をかけることで、「ちゃんと習得しなければ」という意識がはたらくでしょう。時間をかけてしっかり学びたい人は、大手の専門学校に通う方法もあります。

3DCGを学ぶ際に必要なもの

 3DCGを学ぶ際には、何が必要なのでしょうか。ここでは、はじめに準備しておくべきものを3つご紹介します。

1.パソコン

 3DCGを制作する場合は、テクスチャーといった素材の制作やモデリング、レンダリング、特殊効果を用いた映像編集など、多くの作業が必要となります。ときには、複数のソフトを起動しながら作業を行うため、その環境に耐えられるパソコンを用意しなければなりません。

 パソコンを選ぶときは、パソコンの演算や制御の中心となるデバイスであるCPUはもちろん、グラフィックボードやメモリー、ストレージなど、スペックに注意が必要です。また、使用する3DCGソフトによって、最適な動作環境やパソコンのスペックが変わります。そのため、パソコンを購入する前に、3DCGソフトの公式サイトなどで推奨されている動作環境をチェックしておきましょう。

2.3DCGソフト

 3DCGを学ぶ際には、3DGCソフトが必要です。CG業界で使用されている代表的なソフトは、「Maya」と「3ds MAX」です。MayaはWindowsでもMacでも使用でき、映画業界やゲーム業界などで広く使われています。一方、3ds MAXは建築業界でのシェアが大きく、CADとの連携も得意です。

 また、無料で使える3DCGソフトもあります。最も有名なのは「Blender」ですが、操作やUIが独特なため、扱いが難しいソフトといわれています。また、Mayaや3ds MAXと比べるとサポート体制が劣るため、3DCG業界のスタンダードにはなっていません。もし、3DCG関連の仕事に就きたいと考えているならば、Mayaか3ds MAXが無難です。あくまで趣味の範囲であれば、Blenderでもいいでしょう。

 このように、3DCGソフトによって得意とするジャンルが異なります。何を作りたいのか、どういう道に進むのかによってソフトを選ぶことが大切です。

3.画像編集ソフト・映像編集ソフト

 CGで制作したものに色や質感を加える場合、テクスチャーを作れる画像編集ソフトが必要となります。代表的な画像編集ソフトとしては、「Photoshop」や「Substance 3D Painter」が挙げられます。

 また、CGで造形物やキャラクターを制作したら、「これを映像化したい」と考えるでしょう。その場合は、「After Effects」などの映像編集ソフトを使用するのがおすすめです。

 3DCGの映像作品は、これらの多数のソフトを組み合わせて制作されています。単に3DCGソフトだけでなく、画像編集ソフトや映像編集ソフトをそろえる必要があることを覚えておいてください。

3DCGを独学する場合のメリット

 3DCGを独学する一番のメリットは、自分のペースで学習できる点です。空き時間や好きなタイミングで、3DCGに関する本を読んだり動画を見たりしながら勉強ができます。また、YouTubeのレクチャー動画やBlenderなどの無料ソフトを利用することで、あまりお金をかけず気軽に始めることも可能です。

3DCGを独学する場合のデメリット

 独学なら気軽に始められるとはいえ、3DCGを習得するのは簡単ではありません。もし、わからない点が出てきても、周りに質問できる人がいなければ進めにくいという点は、独学のデメリットのひとつです。3DCGについて詳しい知人がいれば教えてもらえる可能性もありますが、細かく何度も質問をするのは難しいかもしれません。

 また、無料のソフトで勉強し始めたとしても、就職を考えるならプロと同じ環境で学習することが必要です。3DCGの業界で広く使われているソフトは高額で、ハイスペックなパソコンも用意しなければなりません。「3DCGを学んで仕事にしたい」と考えている場合、結果的に費用がかさんでしまう点はデメリットといえるでしょう。

独学のメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った学習方法を

 3DCGの活用場面や勉強方法、事前に用意すべきもの、独学のメリット・デメリットについて解説しました。

 3DCGは、独学で習得することも不可能ではありません。書籍やYouTubeの動画、無料ソフトを使うことで、気軽に始めることもできます。とはいえ、プロレベルまで習得するには時間がかかるでしょう。また、3DCGを扱う業界への就職を考えている場合、パソコンやソフトの購入費用がかさむ可能性もあります。独学のメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った方法で効率的に学ぶことが大切です。