数回触っただけでは理解できなかったChatGPTの革新性
――まずはChatGPTに触れる前の印象からお聞かせください。
最初は従来のチャットボットとどのように違うのだろうという気持ちがありましたが、数年前からTwitterや海外のブログなどでGPT-3という言語モデルが存在することはなんとなく知っていたため、企業さんのECサイトに搭載されているようなチャットボットとはまったく異なるものではないか、と想像していました。そのなかで、おもに海外のSNSアカウントを中心に「これは今までとは違うぞ」とつぶやかれているのを見かけたり、投稿に貼られているChatGPTを使用している画面キャプチャーを見たりしても、自然な言葉かつ的確な回答を返していたため、これは絶対使ったほうが良いと思い、使い始めました。
最初にChatGPTに触れたときは「めちゃくちゃすごい」とはもちろん思ったのですが、数回触っただけでは、正直その“革新性”を理解することはできませんでした。そのときは使いかたの原則やどういう風にChatGPTを使いこなすべきかを私自身が理解できていなかったため、「今とても眠いんだけどどうしたら良い?」といった友だちとの雑談のようなものを書いていました。それに対してもしっかり返答はしてくれますが、使い道がわからないというのが最初の印象です。
そのあとは、ChatGPTを使っているほかの人の発信などを見て、自分が詳しい分野だとさらに解像度が上がり、より良い使いかたが見つけられるのではないかと思い、勉強しているワインのペアリング提案やワインの歴史などについて1日使ってたくさん質問をしてみました。そのなかで、ChatGPTが役に立ちそうなところとそうでないところなどが、感覚的にわかっていったように思います。
ChatGPTでは、たとえばワインの具体的な銘柄や商品名は出てきません。いろいろと質問をしてみても、嘘の情報を本当のように返してくることが頻繁にあるなど危険な部分もありましたし、自分の専門外のことについてはあまりそのすごさを実感できませんでした。ただ、日常生活の中で「こういうことをChatGPTに聞いたらおもしろそう」といったアイディアや、仕事中にデザインについて聞いてみたいことなどが思い浮かぶようになってきたため、そういったものを書き留め、あとからひととおり聞いたりしました。
デザイン関連の話題を書き込んだときの回答は、ものによってかなり精度が異なるという印象です。たとえば海外のデザイナーさんで、ウェブデザインにおいて抜け漏れがないかをチェックするためのリストを作ってもらった方の回答を見て私も試しましたが、正直「当たりさわりない答えが多いな」と感じてしまいました。