適度な刺激で組織の活力を創出 「Add one skill」導入の狙い
こんにちは。MIXIの執行役員 CDO デザイン本部 本部長の横山です。デザイン本部では新たなスキルアップを促進する取り組み「Add one skill」を2021年から導入しています。本施策は、デザイン本部で働く人たちが、新たなスキルを当たり前に獲得できる状態をつくり、小さな成功体験を通して、できることが広がるおもしろみを感じてもらうための取り組みです。また、自分のスキルアップを積極的に同僚にシェアすることで、周りに良い影響を与えたり感謝されたりするなど、組織の活力を生む土台をつくること、さらに同僚からの適度な刺激を自分の力に変えていくといった効果も狙っています。
私は2019年にMIXIに入社し、2ヵ月後にグラフィックデザイングループのマネージャー就任。それとともに、現場に関わり始めました。
その後、徐々に周辺グループとも会話が増えていく中で、次第にデザイン本部全体を覆う重たい空気を感じるようになりました。「デザイン職のメンバーに元気がない」「楽しそうにデザインしていない」「同僚のデザインへの関心も低い」。こういった課題にどう立ち向かうかを考える日々が始まりました。
1人ひとりのデザイン職と話せば、デザインに対する熱い思いや、誠実な姿勢でデザインに向き合っているメンバーはいるものの、チームやグループで集まると、途端に静かになって諦めモードになり、多くを期待しない空気が場を支配していました。どのように活路を見出せばよいのか、考えを進める中で3つのポイントがありました。
ひとつめは、そもそもデザイン職はものづくりや技術に関心があり、好奇心があるからこそ選択する職業だと思います。必要なのは、眠っている感覚を呼び覚ます「小さなきっかけ」なのではないか。
ふたつめは、もっともやりたくないことですが、ネガティブなパワーがポジティブな個人を飲み込んでしまうこと。そのためにも、個人のやる気をより際立たせ、きちんと承認し、評価で返すことができれば、デザイン職同士は互いに刺激しあい、切磋琢磨し始めるのではないか。
最後に、過度に進んだ分業制を改善しなければ、スキルを広げるモチベーションも湧きにくいし、新しいことにチャレンジする理由もインセンティブもない。それはやがて、転職ができないデザイン職を生むことにつながるのではないか。
これらを同時に解決する策を考える中でたどりついたのが「Add one skill」です。その次に私は、この施策を形骸化させないためにはどうしたら良いか、現場がゆるやかに取り組まざるを得ない仕組みをつくるための方法などについて考え始めました。