デザイン職のゆるやかなつながりを創出 MIXIが取り組むナレッジシェアイベント「Designer's Meeting」とは

デザイン職のゆるやかなつながりを創出 MIXIが取り組むナレッジシェアイベント「Designer's Meeting」とは
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」をパーパスに掲げ、「モンスターストライク」や「家族アルバム みてね」などコミュニケーションサービスを手がけているMIXI。MIXIには約250名のデザイン職が在籍するデザイン組織があり、コミュニケーションに真摯に向き合い、同社のプロダクトやイベントのデザインで事業支援をはじめ全社貢献をしています。本連載では株式会社MIXI 執行役員 CDO(Chief Design Officer)の横山義之さんが、デザイン本部で推進している組織開発に関する取り組みを全5回にわたってお届け。第2回は、ナレッジシェアイベント「Designer's Meeting」についてです。

「Designer's Meeting」を始めた背景

 私は2019年の入社以来、多くのデザイン職とコミュニケーションをとってきました。当時とくに印象的だったのは、デザイン職1人ひとりの受け取っている情報やメッセージが少なく、偏りがあることでした。

 当初、特定の部署で起こっている事象かもしれないと捉えていましたが、その後コミュニケーションの対象やレイヤーを変えても、その印象は変わるどころかむしろ強くなっていく一方でした。

 これらをふまえ、デザイン組織として「MIXIのデザイン組織のこれから」「デザイン職の在り方」「デザイン職のコンピテンシー評価のとらえ方」「デザイン職の目標設定のいどみ方」などを、全社朝会や社内共有ツールのDocBaseで発信し、より多くのデザイン職が同じ情報に触れる環境を構築し始めました。

 こういった発信を行いながらコミュニケーションを続けていったところ、もうひとつ共通の課題が明るみに。それはデザイン職のコミュニケーションの対象が良くも悪くも部署に閉じ、限定されてしまう環境があることでした。これにはもちろん、心理的安全性がある密度の濃いチームビルドができるメリットがありますが、一方で中途入社者の孤立による独学や、新卒入社者の伸び悩みを助長することにもつながってしまっていました。

 そこでまずは、マネージャーへのマネジメント支援に着手。具体的には、マネージャーの姿勢や気をつけるべき言動といったマネージャーとしての心得を個別にレクチャーしました。また、新卒デザイン職のメンタルケア方法や、キャリアプラン策定からアクションプランのフォロー方法といった新卒デザイン職への向き合い方も講義しました。(ディスカッションの一部は、マネージャーインタビューシリーズとして社内公開もしています)

 しかし事業フェーズや事業状況、メンバー構成やグループ規模、マネジメントの経験年数など、マネージャー1人ひとりの環境は異なります。そのうえ、個々のマネージャーが部署で抱えている課題が原因で組織が停滞し、マネジメント難易度が上昇するといったそのほかの課題への支援も行っていました。こうした個別の課題の支援を並行して行っていたため、なかなか思うように進みません。

 「このやりかたではダメだな、やっているうちに次の問題が起きる」「巻き込む人を増やし、人や環境が勝手に動き出すような仕掛けを作らなければ……」「ひと言で言えば風通しの悪さと言えると思うんだけど……」と考える日々が続きました。

組織活性化のために「DesRel(Designer Relations)グループ」を発足

 どうすれば組織全体が活性化するのかを考える中で参考にしたのは、MIXI開発本部のDeveloper's Meetingでした。

 Developer's Meetingは、CTOやDevRel(Developer Relations)グループが中心となり、エンジニア同士がナレッジシェアや交流する全社エンジニア向けの社内イベントです。デザイン本部も同様のスキームで、「Designer's Meeting」を開催すれば、風通しの悪さ(コミュニケーションやリレーション起因の課題)に対しインパクトするのではないかと思い、主導し推進するための組織「DesRel(Designer Relations)グループ」を2021年4月に発足しました。

 DesRelグループに対し、「Designer's Meeting」で実現したいことを次のように伝えました。

  • 社内にはたくさんのデザインの知見や失敗が眠っている
  • 社内にはたくさんのおもしろいデザイン職が在籍している
  • 社内にはたくさんのおもしろい仕事がある

 このように定め、デザイン職同士が人や情報に触れる機会を増やせば、自然とコミュニケーションは増え、風通しも良くなっていくのではないかと考えました。

  こうして迎えた2021年第1四半期。第1回は私から、経営がデザインに期待していることやデザイン職の在り方についてメッセージすることからスタートしました。