「ドキュメント文化」をデザイン組織に根付かせた取り組みとは

「ドキュメント文化」をデザイン組織に根付かせた取り組みとは
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 「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」をパーパスに掲げ、「モンスターストライク」や「家族アルバム みてね」などコミュニケーションサービスを手がけているMIXI。MIXIには約250名のデザイン職が在籍するデザイン組織があり、コミュニケーションに真摯に向き合い、同社のプロダクトやイベントのデザインで事業支援をはじめ全社貢献をしています。本連載では株式会社MIXI 執行役員 CDO(Chief Design Officer)の横山義之さんが、デザイン本部で推進している組織開発に関する取り組みを全5回にわたってお届け。第3回は、「ドキュメント文化」についてです。

 こんにちは。MIXIの執行役員 CDO デザイン本部 本部長の横山です。

 MIXIのデザイン本部では、言語化しドキュメントにまとめることを推奨してきました。現在では、プロジェクトの振り返りやデザイン改善はもちろん、新ツールのノウハウ、Slackの自作ワークフロー、くらしの中の気持ち良いUX、オススメのデザイン書籍まで、多様なドキュメントが日々現場のメンバーから発信されるようになりました。

 今回は私たちが実践するドキュメント文化の取り組みについて紹介します。

言語化を重視する背景

 言語化を推奨する狙いは、「個人」と「組織」のふたつの側面があります。「個人」は、言語化することでものごとを分解し、再現することをより意識する習慣を身につけようとするもの。一方「組織」は、より多くの情報や知見が、早く広く伝わる仕組みをつくることが狙いです。

 また、MIXIのデザイン組織の規模のメリット(規模が大きいことによるフィードバックや刺激の多さ)を、1人ひとりのデザイン職が享受できる状態をつくるとともに、今後も組織が拡大していくことをふまえ、誰もが学びたい時に学べる状態を用意していきたいという意図もあります。

言語化を磨き、デザインの推進力につなげる

 デザインを言語化する工程は、デザイン同様に簡単なことではありません。言語化しながら、自身の考えかたが進んだなと思えることもあれば、矛盾に気づくこともあります。

 「狙いどおり進められたのか」「表現や演出はこだわり抜けたのか」を振り返るうちに、まったく違うアプローチやアイディアが浮かび、「なぜ、デザインしてる時に気づかなかったのだろう」と頭を抱えることもしばしばです。ようやくドキュメントが書けても今度は、「この内容で目的や意図は伝わるのだろうか」と新たな悩みも生まれます。

 ですがこの工程こそが、デザイン職としてクリエイティビティをより高めることにつながるのではないかと私は考えています。

 さらにMIXIで働くデザイン職には、周りのさまざまな職能をもった同僚を巻き込み、デザインを推進していく力も同時に求められています。そのときにデザインを言語化する能力は、とても重要な武器になります。

ドキュメント文化を組織に根付かせる

 言語化する習慣を組織に根付かせるためにまず心がけたのは、私自身が率先してドキュメントにまとめていく姿勢を示すことでした。

 その際に気をつけたのは、ハードルを上げすぎないこと。気軽な気持ちで、大きなことも小さなことも、やりきったことも途中のものも、なんでも意識的に投稿し続けてきました。

言語化しドキュメントにまとめてから会議

 同僚と話をして気づいたのは、Slackのような短い文で早くリプライすることと、じっくり考え構造的に意見をまとめることは、違う筋肉を使うという点。そこで今度は、ドキュメントにまとめる機会を意図的に増やす試みを始めました。

 具体例のひとつは、週一のマネジメント定例です。これまでの運用は、各自で頭の中にあるトピックを言い出した順でディスカッションするものでした。それを、次のような運用に一新しました。

  • 定例前までにGoogle Docsにトピックを書き込む
  • 定例の冒頭にそれを各自が黙読し、コメントをつける
  • 読み込んだ後、コメント部分のディスカッションをする

 こうして、マネジメントチームが言語化する機会を増やしていきました。この運用にしてから毎週少しずつ書き込みの量も増え、今ではたくさんのトピックが集まるようになりました。

 言語化の機会を増やすことが目的でしたが、定例自体もディスカッションが脱線しすぎず、話したいトピックを忘れることも減り、容易にあとから振り返ることが可能に。さらには、ドキュメント自体がそのまま議事録になるため、リーダーへの共有も以前より早く、かつ正確にできるようになりました。(以前は毎回書き起こししていました)

 マネジメント定例の言語化体験は、各部室やグループ定例にも波及し、全体の言語化の機会を増やすことにもつながっているようです。

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