こんにちは。戦略マーケティングファーム・suswork株式会社で代表をつとめる田岡凌です。現在、スタートアップから大企業まで数十社のマーケティング戦略やクリエイティブを支援しています。この連載ではその経験を活かし、クリエイティブとマーケティングに関わる話題をお届けしていきます。
クリエイターが困るマーケティングチームとの対話
ひとくちにクリエイターと言ってもさまざまな仕事やジャンルがありますが、クライアントのマーケティングチームと一緒に仕事をしているクリエイターも多いと思います。そのなかで、さまざまなコミュニケーションの壁にぶつかることはないでしょうか。
今回は、さまざまなクリエイターにヒアリングをして頻繁に直面することがわかった、マーケターやマーケテティングチームとのコミュニケーション課題を挙げてみます。
ケース1.結局何がやりたいかがわからない
マーケティングチームからクリエイティブを依頼され、どのようなクリエイティブを作りたいかヒアリングをしたものの、どうも何がやりたいかわからない。目的はブランディングなのか、広告なのか。何が達成できたら良いのか。それでいて他社の参考事例のリンクがたくさん送られてきたり、「こんなカッコいいクリエイティブを作ってほしい」という依頼はくる。やはり何をやりたいかがわからずモヤモヤしながらとりあえずクリエイティブ制作に取りかかる――。こんな場面に直面したことはないでしょうか。
ケース2.みんな意見が違ってアウトプットが丸くなる
クリエイティブのドラフトを作り提案をすると、提案の場には自社やクライアントのマーケティングに関わるメンバーが数名と、マーケティングの知見がない部署のマネージャーが。それぞれアウトプットに対してコメントをするが、それぞれ言っていることがバラバラ。またオーナーや責任者がはっきりしないため、全員の意見を聞かざるを得ない。とりあえずコメントをすべて反映してほしいといった無茶な依頼も、聞かなければいけない雰囲気。あなたもすべてを反映する必要はないとわかりつつ、仕事だからととりあえず反映させる。できあがったものはどこにでもあるようなアウトプット。本当にこれで良いのだろうか――。こんな場面に直面し、頭を悩ませた方もいらっしゃるはずです。
ケース3.結局偉い人の好みでまとまってしまう
クリエイティブをアウトプットするために、責任者や社長にクリエイティブをチェックしてもらうなかで、今までの議論と関係なく好みについてのコメントがたくさん入る。マーケティング担当者もそこに反論することはなく、その好みを受け入れざるを得ない。また、こんなことも言いたい、あれも盛り込みたいとどんどん要望は複雑になり、アウトプットをみると当初のコンセプトのかけらもない。クリエイティブも何も伝わらないものになっているがもう引き返せない、これで進めよう――。こんな場面でやるせない気持ちになった人もいるでしょう。
ここで挙げたのは代表的な例ですが、それ以外にもマーケティングチームやメンバーとの対話でさまざまなミスコミュニケーションに頭を悩ませている方も多いかと思います。一方で、マーケティングありきだから、と諦めてしまっている方もいるのではないでしょうか。