若者にとっての世界観は、仲良くなるための共通言語
たちばな 若者のトレンドを知る長田さんとお話できるのを楽しみにしていました。普段の仕事内容からお伺いできますか?
長田 15歳から24歳(アラウンド20)の若者に特化したマーケティングをしています。実際に会って話をすることを大切にしており、先日も200人の若者のヒアリングを行ったばかりです。そのデータは、「SHIBUYA109」のマーケティングや、外部企業のコンサルティングなどに活かしたりしています。
たちばな ちなみに、長田さんは普段「世界観」という言葉を使いますか?また若者は「世界観」を意識しているものなのでしょうか。
長田 かなり重要視しているのは間違いありません。若者がとても頻繁に使うワードで、私も注目している概念です。一般的に世界観という言葉は、「好きなアニメの世界観」「推しの世界観」のように使われることが多いと思うのですが、若者にとってはコミュニケーションにおいて必須のトンマナです。
たとえば、SNSのプロフィール写真や投稿写真が自分と同じ系統であれば友だちになれるかも、というように、相手の世界観を知ることで仲良くなれそうかを判断するんです。
たちばな たしかに世界観は、その人の軸となる価値観や背景を総合的に表現しているものと言えますので、その判断軸は理にかなっていますね。ここで言う「SNS」とは、おもにInstagramなどでしょうか。
長田 そうですね。若者にとってのSNSは、XよりもInstagramです。そこでの表現方法も、自分がどのように目立つとか、いかに映える写真をアップするかよりも、彼らは「世界観が崩れていないか」をとても重視しています。
たちばな 「視覚的なリテラシー」がとても高いのですね。デジタルネイティブな世代は画像処理能力が高く、言語以上の情報量をもった画像的コミュニケーションが得意、ということなのでしょうか。
長田 まさにそのとおりだと思います。若者たちにたくさんの画像を見せて、エモいものとそうでないものを仕分けしてもらうと、しっかり同じものを「エモい」ものとして選びます。もちろん、それぞれの好みはありますが、「『エモい』を視覚的に表現するとこんな感じ」という共通認識があるんです。
たちばな ちょっと鳥肌が立ちました。人の進化を感じますね。