入社4年目のデザイナーが経営チームに ウエディングパークの新役職「BDO」が実感した経営視点の勘所

入社4年目のデザイナーが経営チームに ウエディングパークの新役職「BDO」が実感した経営視点の勘所
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2024/10/21 08:00

 ウエディングパークでは、昨年10月に新たな役職「BDO(Beyo-nd Design Officer)」を設置した。この役職には、デザインの力で経営に貢献するという大きな期待が込められている。その初代BDOとして抜擢されたのは、入社4年目のデザイナー 笹原光さんだ。同社がこの役職を設置した背景や具体的な取り組み、デザインで経営に貢献するための考えかたについて、笹原さんに聞いた。

カルチャーデザイナーからBDOに 若手を経営チームに抜擢した「BDO」設置の背景

――まず、笹原さんのこれまでのキャリアと現在の役割について教えてください。

中学生のときからデザインに興味を持ち、美術大学でウェブデザインや映像制作などを網羅的に学びました。就職の際にウェブデザイナーを志望したのは、「本質的な課題解決としてのデザイン」に携わりたいと思ったからです。ウェブはユーザーの反応から、何が人の心に刺さったのかを捉えやすいため、その後の改善を含めて取り組むことができるのではないかと考えました。

なかでも人がウェブを使いたくなるのは、人には相談できない悩みを抱えているときや、大切な決断をしたいときであることも多い。こと「結婚」という大きなライフイベントにはセンシティブな部分もあるため、ウェブの力がとくに活かされる領域ではないかと思い、ウエディングパークに入社しました。

ウェブデザイナーとして働きながら、「会社のカルチャーを『圧倒的競争力』にする」をミッションに掲げるカルチャー推進室にも所属し、入社から約半年後にカルチャーデザイナーになりました。カルチャーデザイナーは、デザイナー的発想で経営陣に伴走しながらカルチャーの浸透を目指していく役割。半年に1回発表する経営メッセージやオフィスのリデザイン、コーポレートサイトのフルリニューアルなど幅広く手がけました。

――笹原さんが担っている「BDO」という役職は、初めて耳にする肩書です。ウエディングパークでBDOを設置した背景やミッションについて伺えますか?

2021年10月の社員総会で、代表の日紫喜が「ウエディングパーク的デザイン経営宣言」を発表し、「技術」と「デザイン」のふたつを会社の競争力に変えていく経営方針を掲げました。しかし従来の経営チームにはクリエイター出身者がいなかったんです。そこで、経験は短くても熱意や考えかた、思いを行動に移せる行動力を評価し、若手を経営チームに抜擢することにより経営陣にも変化を起こしていこう。そういった意図でBDOが設置されました。

そのためBDOの大きなミッションは「デザイン経営の推進」と「技術とデザインのウエディングパーク」の実現に貢献すること。これまでの役員になかったクリエイター的発想で、一緒に経営課題を解決していくことが期待されています。

株式会社ウエディングパーク BDO(Beyo-nd Design Officer) 笹原 光さん
株式会社ウエディングパーク BDO(Beyo-nd Design Officer) 笹原 光さん

私が「クリエイター的発想」だと捉えている考えかたはふたつあります。ひとつはバックキャスティングで考えること。目の前の課題解決に取り掛かる前に、「どうありたいか」の理想を描き、そこから逆算するというのがデザイナーの思考の習慣です。ふたつめは、具体と抽象を行き来する考えかた。普段デザインを作るときには、抽象的なものを具現化していくといった作業を繰り返し行っているのですが、これもデザイナーの大きな強みです。

こうした発想を活かし、経営にまつわる新しい課題発見や解決方法の提示ができるのではないかと考えています。

――BDOとして、実施してきた具体的な取り組みについて教えてください。

まず行ったのは「デザイン経営会議」という会議体のデザインです。この会議では、経営方針に掲げた「技術とデザインのウエディングパーク」とは具体的にどのような状態を指すのかを役員間ですり合わせるための話し合いを設けました。

この場では、あまり普段は議論をすることがないメンバー同士が意見を交わすため、お互いの意見を理解しやすいようにディスカッションを図解化。また、議事録をつくるときにもリアルタイムに具現化をし、都度、議論を整理するようにデザインしました。かなり抽象度が高い会話でしたが、その場で図にするなど具体的に示していくことで、議論の質とスピードを上げることができたと思っています。

デザイン経営会議の様子(出典:note「ウエディングパークの『ン』。」)
デザイン経営会議の様子(出典:note「ウエディングパークの『ン』。」)

一方、デザイン経営会議での議論をもとに、クリエイターの活躍を推進するために行った取り組みのひとつが「ビジグロ(ビジネスグロース)シート」です。クリエイターはアウトプットをゴールとして目の前の制作に集中する傾向があると思うのですが、そんなクリエイターの仕事がどのように事業成長に貢献しているのかというアウトカムまでは意識が向きにくく可視化されていない。これは経営陣も課題だと捉えていました。

そこで、クリエイターが事業成長に目を向けるための目標設計フォーマットを、エンジニアのBTO(Beyo-nd Technical Officer)と一緒に設計することにしたんです。

ビジグロシートには「事業目標は何ですか?」「このクウォーターで達成するべき目標は何ですか?」といったいくつかの問いが用意されています。大きな目標からブレイクダウンすることで、クリエイター自身がどのように貢献できるかを考えてもらうフォーマットになっています。その際にクリエイターならではのスキル「デザイン思考×具現化力」によって、貢献できるポイントを設定してもらうようにしています。

もうひとつ行っているのが、実際に事業成長に寄与したクリエイターを表彰する「ビジグロアワード」です。クリエイターを表彰する場ではありますが、全社員が視聴者として参加することも可能です。ここでもクリエイターが自分自身の言葉で事業にどう貢献したのかをプレゼンするのですが、「他職種のメンバーがわかるように説明する」よう、クリエイターには伝えています。

「ビジグロアワード」の様子
「ビジグロアワード」の様子

会社として「このように事業貢献してほしい」といった明確な基準を設けているわけではなく、クリエイター自身に考えてほしいと思っています。ビジグロシートでも、まずはクリエイター自身が考えたうえで、上長とすり合わせながら目標を設定してもらっています。

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