こんにちは。DMM.com 動画配信開発部の石田です。2023年の4月にDMM.comに中途入社し、約1年半、社内のデザインシステム「Turtle」の開発を担当していました。現在は動画配信サービスのプロダクトデザインに携わっています。
リモート環境による、ワークエンゲージメントの低下
コロナ禍をきっかけにリモートワークが急速に普及し、オンラインでのコミュニケーション機会が増加しました。リモートワークは、特定の場所を問わず、カフェやコワーキングスペース、自宅など、働く場所を柔軟に選ぶことができるため、通勤時間の削減や仕事とプライベートの両立など、ワークライフバランスを向上させます。しかし、リモート環境下でのオンラインコミュニケーションは、表情や身振りといった非言語情報が伝わりにくく、意思疎通が難しいといった課題も存在します。ある調査によれば、約7割のビジネスパーソンが「上司や部下とのやり取り」において認識や理解のズレを感じていると回答しています。
このようなズレは、意図しない作業の進行や手戻り、追加の説明といったコミュニケーションコストの増大を招き、結果としてプロジェクトの遅延や効率の低下を引き起こします。
またパーソル総合研究所の調査によると、テレワークを行っている多くの従業員が、非対面でのやりとりにおいて「相手の気持ちがわかりにくく不安を感じる」「業務上の指示やコミュニケーションに支障がある」「会話が減り、寂しさを覚える」などといった“心理的な不安”を抱えていることが明らかになっています。
このようなリモート環境下で発生するコミュニケーションの問題や心理的な不安は、従業員のワークエンゲージメントを低下させる要因となります。従業員が仕事に対してポジティブで充実した心理状態を持つことを指す「ワークエンゲージメント」を高めることで、組織の生産性を向上し、離職率の低下にもつながります。
したがって、組織をより良くするためには、リモート環境においても効果的な情報共有とコミュニケーションを促進し、従業員のワークエンゲージメントを高めるための包括的な取り組みが必要です。
本記事では、FigJamと Figmaを活用し、リモート環境における従業員のワークエンゲージメントを向上させるためにどのような取り組みを行ったのかを紹介します。
FigJam による情報整理と情報共有
まず、私がデザインシステムの開発チームに在籍していた際、実施したワークエンゲージメント向上の施策について説明します。
開発チームに加わったころに実施したこと
私が開発チームに加わったのは2023年の4月、開発の初期構築フェーズを終え運用拡大フェーズに差し掛かったころでした。
すでに複数のコンポーネントやスタイル、トークンなどがデザインシステムとして定義され、デザインシステムを活用する社内のプロダクトも徐々に増え始めるなど、順調に導入が進んでいきました。開発チームではさらなる利用プロダクト拡大に備え、新しいコンポーネントやカラーバリエーションの作成を実施することになったのですが、開発を進めていくと、コンポーネントのprops名や挙動がデザインと実装で異なっていたり、非推奨となっているスタイルが使用されていたりと細かな課題が複数露呈。
それを解決するためにまずは、既存のデザインシステム要素を再調査し、現状の課題を洗い出すことにしました。
認識や理解のズレを防ぐ情報共有
開発チームでは、調査を行う際Confluence に内容をまとめ、ミーティング時に画面共有で課題箇所を示しながら説明する方法が一般的でした。しかし情報が複雑化するにつれて、「Confluence に記載されたテキスト情報」「報告者の口頭説明」「画面共有で示す課題箇所」の各情報が関連せず、メンバー間で理解にズレが生じ、共通認識を持つことが難しくなりました。その結果、ミーティング時間の大半が課題の共有に費やされ、解決策の議論にまで進まないことも頻発。
また、ミーティングに参加しているメンバーは、情報が複雑になるほど理解に時間がかかり、フラストレーションを感じていましたし、説明する側もなかなか理解してもらえない状況に不満を感じていました。このような状態が続くと、ミーティングが開催される度に、双方のワークエンゲージメントが低下してしまいます。
そこで、この問題を解決するために使用したのがFigJamです。FigJamは、リアルタイムで共同作業が可能なビジュアルホワイトボードツールであり、図解やメモを活用して、視覚的に情報を整理・共有することができます。