「まちスパチャプロジェクト」が地方創生を成功させる
現在uyetでは「まちスパチャプロジェクト」と呼ばれるシティプロモーションを行っており、VTuberの皆さんにご協力いただきながら、さまざまな自治体さまと取り組みを実施。VTuber出演の観光PR漫画や生配信を公開したり、地域の事業者さまとVTuberコラボ商品を開発したり、オフラインイベントも開催しています。
これまで7つの自治体と取り組みを行ってきましたが、どの自治体さまもとても協力的で、プロジェクトとしてやりたいことを実施できています。
さまざまな方の協力のおかげで、マンガや配信で取り上げられた観光地をファンが訪れたり、コラボ商品をたくさんの方に手に取っていただいたりと、間違いなくお金と人の移動が発生し、一時的に大きな流れをつくることもできています。
一方、課題もあります。そのひとつは、どれも単発的な施策になってしまっていること。地方創生の本当の意味での成功を見るには、継続的な取り組みが必要なのです。
地方創生を成功させるためのカギとは
前提として、地方創生は長期的かつ成果がわかりにくいため、成功させるのは非常に難しいものです。
ただ地域サイドとVTuberサイドが丁寧に歩み寄って協力し合い、独自のコンテンツを生むことで、地方創生を成功に繋げることが可能だと考えています。
その際、VTuberと地域に関わるマーケティング担当者が行うべきは「コンテンツの視聴体験を最適化すること」です。
この分野は、ファネルの起点から終点(コンバージョン)までの時間軸がとても長いです。通例のマーケティング、とくにウェブ広告やターゲティング広告などは、ユーザー体験の時間軸が短いため、「いかに熱が冷めないうちにコンバージョンしてもらうか」「最後まで離脱しないようにしてもらうためにはどうするか」といった考慮が必要だとされてきました。
ただ近年、SNSの発達およびコンテンツの生成が容易になったことから、今すぐ購入する確率が高くない人に対しても「想起の獲得」「パーセプションの形成」を積み上げていくことが重要です。その結果、今購入したいと思ったタイミングであったり、競合と比較したりすることなく、コンバージョンまでつなげることが可能となりました。
もしそういったお客さまが不在で、そもそも興味関心や潜在的なニーズがない状態からスタートする場合は、長期的にコンテンツを発信し続けて第一想起を獲得することはもちろん、企業ブランドやサービスブランドへの好意度を高めておくことがポイントです。VTuberマーケティングは、とくにこれを行いやすい手法だと言えるでしょう。
とはいえ、結局ではPRなのだからほかのSNSで活動するインフルエンサーと同じではないかと思うかもしれません。しかし現代は直接的なコンバージョンを目的したもの(かつてコンテンツマーケティングで「コンテンツ」と呼ばれていたもの)が世の中にありふれています。その結果、顧客が本当の意味で楽しめたり、学びのある“コンテンツ“を生成できたりする企業や自治体が、第三者から評価され、良い評判として拡散されるようになりました。
VTuberマーケティングは、マーケティングとして「知人の純粋なクチコミ」に限りなく近い現象を再現できる可能性が高いです。完全に作られているわけでもなく、かといって誰かのよくわからないクチコミでもない。そんな、ユーザーにとってちょうど良い距離感で商品を訴求できるVTuberマーケティングだからこそ、地方創生にも大きな効果を及ぼすことができるのです。
成果を求めすぎてせっかちになってしまうところを少し堪えて、継続的に施策を打ち、長期軸で結果を見ること。それがとても大切です。
1つひとつの施策は、その地域を知ってもらうきっかけに過ぎないからこそ、地方創生の成功はその先にあることを理解したうえで施策を打つことが非常に重要です。そのうえで地域全体を巻き込み、そのプロジェクトに関わる全員で取り組むこと。これが地方創生の成功のカギなのかもしれません。