ソニーグループ傘下のブロックチェーン関連会社3社(Sony Block Solutions Labs Pte. Ltd.、S.BLOX株式会社、SNFT株式会社)は、今回ブロックチェーンのメインネット「Soneium(ソニューム)」の一般公開と、暗号資産取引サービスのリニューアル版およびNFT発行プラットフォームの提供という3つの新たな取り組みを開始する。Web3の基盤インフラであるブロックチェーンからアプリケーションレイヤーまで包括的なソリューションを提供することで、クリエイターのクリエイティビティの拡張やファンコミュニティへのエンゲージメント強化のサポートに取り組む。
インターネットは世界中で利便性向上に寄与した一方で、膨大な情報やインターネット上の経済圏が中央集権的に管理されるようになり、Web3はその集中した権力を分散させるために発展してきた。一方、Web3技術やサービスの利用者は現在一部のコアユーザーに限定されており、圧倒的な活用事例(キラーユースケース)の創出が待望されている。
今後クリエイターの活動が多様化するなかで、Web3におけるコンテンツはよりインタラクティブ性を高め、ファンとクリエイターの接点が増強されることが予想される。ソニーグループは多様な事業において、クリエイターやそのファンへの価値提供を積極的に行ってきたが、Web3という新たなインターネットの時代に、包括的なソリューションを通じて、クリエイターやファンがメリットを享受できるユースケースを提供することを目指す。
ソニューム メインネットの⼀般公開
Sony Block Solutions Labs Pte. Ltd.は、ビジョン「Realize the Open Internet that Transcends Boundaries(境界を超えるオープンなインターネットの実現)」のもと、パブリックブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」の開発を2024年8月に発表した。その後、ソニュームのテストネットである「Soneium Minato(ソニュームミナト)」を一般公開し、誰でもアクセス可能なテスト環境を提供した。開発者やクリエイターは本番環境に先駆けてネットワークの仕様を体験するとともに、開発したアプリをソニュームミナト上でリリースすることが可能となり、エンドユーザーはウェブウォレットからこれらのアプリにアクセスして使⽤できるようになった。ソニュームミナトでは、すでに多数のアプリ開発が完了しており、2024年9⽉に開始したインキュベーションプログラム「Soneium Spark (ソニュームスパーク)」で1,700件を超える応募から選考を勝ち抜いた32プロジェクトに加えて、クリエイターによる多数のアプリが存在している。ゲーム、 NFT、ソーシャルアプリなどのエンタテインメント関連や金融関連のアプリが開始され、1,400万を超えるアカウント数およい、4,700万を超えるトランザクション数が確認されている。
そして今回、ブロックチェーンの本番環境であるメインネット「Sonieum(ソニューム)」を一般公開する。ネットワークの仕様はソニュームミナトを踏襲しているため、ソニュームミナトと同じ開発環境でアプリ開発が可能。また、メインネットでは、各アプリ内の決済に暗号資産を使⽤可能になる。開発者やクリエイターは自身のアプリ内の決済を通して収益を上げることができることに加え、エンドユーザーはお気に⼊りのアプリ上の活動を通じて、クリエイターの応援・⽀援をするファンコミュニティを築くことができる。
暗号資産取引サービス「S.BLOX」のリニューアル
ソニューム上のアプリ内の決済に必要不可欠となるものが、暗号資産。Web3アプリでは法定通貨ではなく、暗号資産で決済がされることが一般的で、その入手には暗号資産取引サービスを利⽤する必要がある。暗号資産の取引からソニュームでのアプリ利用の体験までを⼀気通貫で提供することを目指して、 S.BLOXは、暗号資産取引サービス「WhaleFin」のリニューアル版である「S.BLOX」をリリースする。リニューアルにともない、UI画⾯のデザイン刷新に加えて、今後モバイルアプリのリリースや対応通貨の拡充により、使いやすいサービスの提供を予定している。
NFTを活用したFan Marketing Platformのリリース
ソニュームに対応したアプリのひとつとして、SNFTは、2025年2月以降順次、Fan Marketing Platformをサービスリリースする。NFT施策を実行する企業向けに提供するプラットフォームで、NFTを活用したファンエンゲージメント施策の実行から分析までワンストップで支援する。企業はこのサービスを活用してキャンペーン等においてNFTを簡単に発行し、そのNFTを通してエンドユーザーとの新しい顧客接点を創出するとともに、NFTを取得したファンに特別な体験やコンテンツを提供することで、ファン・ユーザーのエンゲージメントを深めることが可能。通常、NFTの受け取りにはWeb3ウォレットサービスをユーザー側で別途準備する必要があるが、本サービスではソーシャルログインを活用したウェブ上のウォレット機能を備えているため、初心者でも簡単に受け取りをすることが可能。
ソニーグループはこれらのWeb3サービスを活用し、クリエイターとファンに新たな価値提供をする目的で、グループ内のエンタテインメント関連の企業と実証実験を予定している。Fan Marketing Platformを使用して、ソニュームのネットワーク上でNFTを発行する施策を企画しており、Web3技術を活用した各IPのファンへの価値提供とエンゲージメント拡大を目指す。各企画は2025年1月中旬から2月にかけて順次開始予定。