博報堂は、アイリッジとデマンドチェーン・顧客接点変革に向けた協業拡大を目的とした資本業務契約、およびアイリッジが実施する第三者割当増資による新株発行の引き受けを決定した。同時に、アプリ開発を中心としたデマンドチェーン・顧客接点の変革業務をおこなう合弁会社の設立を決定した。
デマンドチェーン変革を加速
企業のサプライチェーン最適化のニーズは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の浸透により一巡し、成熟期を迎えている。こうしたなか、生活者価値デザインの提供を標榜する博報堂は、生活者接点から生み出されるさまざまなデータを活用し、企業活動のあらゆるシーンで機動的な意思決定を実現する「デマンドチェーン変革」を推進している。新会社では、博報堂が持つ生活者接点全体をデザインするクリエイティビティと、アイリッジが持つ大型のアプリ開発を遂行するプロジェクトマネジメント力と開発力を掛け算し、アプリなどの多様なオウンド接点開発を行う。そこから様々な生活者データが生み出され、その生活者データ基盤が幅広い顧客接点(店舗販売・広告販促・CRM・アフターサービス)の価値をさらに高め、デマンドチェーン変革を加速する。
新会社設立の背景
アプリ開発市場はいまも成長基調にあり、今後もAI活用など新しい技術の台頭などを背景に拡大が見込まれている。また、アプリは生活者データが蓄積する拠点であることから、CRM・各種システムの開発およびデータ利活用をはじめとした魅力的な周辺市場が存在している。
このような市場環境に対して、博報堂はこれまで企業のアプリを中心としたオウンド開発領域における構想(アセスメント・サービスデザイン)、開発(PoC・PMO推進)、グロース(成長)をサポートするプログラムを提供してきた。これにアイリッジ社のシステム実装力が加わることによって、顧客接点の変革を一気通貫で行う大規模開発の支援を進めている。
主な事業内容
新会社はオウンドアプリ開発を中心とした顧客接点開発業務として、次の機能を実装する。
- ビジネスデザイン機能
- マーケティング機能
- プロジェクトマネジメント機能
- プラニング&コンサルティング機能
- エクスペリエンスクリエイティブ機能
資本業務提携契約の概要
提携の目的および理由
博報堂および博報堂DYホールディングスはマーケティングビジネスの構造改革に向けてコマースビジネス領域への対応力の強化を標榜している。購入体験を全方位でデザインする事業変革パートナーへと進化するために、多くの事業シナジーが見込まれる企業との戦略的パートナーシップを模索してきた。
アイリッジはアプリビジネス事業を中核事業とし、小売・鉄道・金融業界の大企業を中心とした企業の消費者向けアプリの企画・開発・運用支援実績およびOMOソリューション提供実績を有している。グループの強みである開発力とビジネス創出力を活かした顧客企業のTech & Innovation Partnerへの成長を目指すなかで、アプリ関連領域以外のデジタル領域や生成AIを活用した新たなDXサービスの提供にも事業を拡大しており、各領域においてパートナーとの積極的な関係強化を行っている。
両社の成長の方向性および戦略が合致し一定のシナジーが見込めることから、本業務提携契約の決定にいたった。