【最終回】ショートは年間200本!作り続けて見えてきた景色と無限の可能性――ファンを増やす極意とは

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 さてさて、ここからはYouTube運用でKPIなども見ているチーム内でいちばんバスケ素人の河毛がお届けします。さまざまなヒットコンテンツを生み出す福﨑Dのテクニックをお伝えしてきましたが、私からはKPIをはじめとした「今新しく挑戦しようとしていること」と「描く未来」についてお話できればと思います。

そもそもKPIをどう捉えているか

目標やKPIを作る際にチャンネル登録者数で考える方向になってしまうことが多いですが、現在のYouTubeの環境の中で登録者を軸に考えてしまうと厳しいだろう、というのが私たちの考えです。もちろん、我々も登録者や再生数も意識はしていますし、数字として出てしまうものなので無視はできません。(初回記事より)

 こんなふうに述べていたのですが、KPIの責任者でも本当は思いっきり無視したいのが正直なところ。

 しかし、もちろんそんなことはせず「チャンネル登録者数をBリーグトップにする」「そこからさらに20万人登録を目指す」など、視聴数もふくめて年間での目標を立てていました。それを月単位で機械的にざっくりとわけ小目標として進行し、先の目標を見やすくしています。これにより自分たちの現在地がわかりやすくなり、「今月は目標値に達していました!視聴数すごいです!」と発言しやすい環境をつくっていきました。

 登録者数や視聴数のKPIはもちろん大切ですが、コンテンツを制作しているのは人間なので、チームのメンバーがワクワクする動画づくりや、たまには休憩することも意識していました。

KPIを設定し、PDCAは回さない

 動画1つひとつに対して「この動画はあんまり伸びなかったね」「登録者数が伸びる動画ではないね」など、チーム内でKPIに沿った振り返りはしません。というのも、その間にも試合は行われており情報が古くなりますし、YouTubeのトレンドも変化しています。メンバーの人数もふまえ、リソースの確保のためにもPDCAは回さず、ガンガン提案して動画を出していくようにしています。

「嗅覚」と「愛」を持って動画を作れば、おのずとファンも増える

 初回では運用の壁を、第2回では選手との関わりかたを、そして第3回となる今回は具体的な撮影や動画についてお話ししてきましたが、ご覧のとおりあの手この手で運用しています。

 それぞれの記事を読んで気付いたかたもいらっしゃるかもしれませんが、私たちは「やりたいこと」と「やれること」の間を狙いながらも「新しいこと」に挑戦することも各ディレクターの責務にしています。

 「新しいこと」については今のYouTubeトレンドや、どんな人とコラボすれば良いのかなどはそれぞれディレクターの嗅覚に頼っています。ここではチームいちのバスケ素人である僕の嗅覚もフルに活用し、なにも知らないからこそ「バスケ選手とここを絡めたら良いんじゃない?」くらいの粒度でいろいろな角度から案を提案しています。

 そこからジェッツチームのことや選手はもちろん、視聴者はどんな動画が見たいのかなど、それぞれの目線を考えていますが、最終的には「愛」をもって動画制作を行うことが大切だと思っています。「愛」ってなんだよと思うかもしれませんが「愛」なんです。

「こんな動画をあげたらブースターは喜んでくれるのでは?」「こうすれば選手は撮影の時に楽しんでくれるんじゃないか」

 ディレクターも製作者でありながら「ファン」の目線も持っているからこそ、熱を持つことがさらなる「ファン」を生み出し、結果視聴数や登録者につながっていると思っています。KPIは取り組む中での「副産物」と言えるかもしれません。

「未来を描くことはできていない」 そのワケと今後も大切にしていくもの

 とても正直に言えば、「未来を描くことはできていない」です。

 ブースターや視聴者の好み、YouTubeのシステムの変化、トレンドの移り変わり、SNSプラットフォームの多様化、バスケ競技の盛り上がり、選手の意向、千葉ジェッツとしての指針など、さまざまな要素が絡み合って未来はつくられていくもの。そのため、描けていないというよりも、いろいろな線が多くなったり濃くなったり、形を変えて描かれていきます。

 ただ、そのなかで我々は「嗅覚」と「愛」を持って千葉ジェッツYouTubeの運用をしていくほかないと思っています。

 そして、未来のKPIを達成するためには、千葉ジェッツを盛り上げることがBリーグ全体の活性化にもつながり、巡り巡ってその恩恵がまた千葉ジェッツにもたらされるという循環が生まれることが不可欠だと考えています。このような信念のもと、私たちはこれからもさまざまな取り組みについて発信し続けていきたいと思います。

 本記事を読んで興味を持ってくださった方は、千葉ジェッツ公式YouTubeチャンネルへの登録もぜひよろしくお願いします!