クリエイターの仕事が多様に分化する時代へ
VTuberという新しいコンテンツが拡大していくなか、それを支えるクリエイターの存在はますます重要なものとなっていきました。
とくに需要が高まった役割のひとつは、VTuberモデルのイラスト制作です。VTuberにとって配信やキャラクターを印象づける要素としてビジュアルは欠かせません。そのため、配信内容や個性に合ったオリジナルアバターを求める声が高まり、それに応える技術を持つイラストレーターが求められるようになりました。

また、その立ち絵をLive2Dで動かす2Dモデラーや、3D空間で立体的に見せるための3DCGモデラーの存在も不可欠です。そういった立ち絵やモデルにとどまらず、配信画面のデザインやYouTubeのサムネイル、グッズのデザインなど、求められるクリエイティブの幅は年々広がっています。それぞれの専門性をもったクリエイターが技術を磨くことで、表情の細かな表現やなめらかな動きに対応できるようになり、VTuberの表現力は飛躍的に向上していったのです。こうした仕事は、VTuberを支えるために欠かすことはできません。
趣味から仕事へ――VTuberがイラストレーターに与える影響とは
VTuberに関わる仕事に携わるクリエイターは、趣味や二次創作からスタートした人が比較的多いです。
紫咲シオンさんにおかれましては、デビュー当初のVTuberのネームロゴ文化が根付く前にファンアートとしてロゴを制作したところから始まり、新規ネームロゴや周年ロゴ、オリ曲など多くを担当させて頂き有難うございました! これからのシオンさんに幸あれ…! お疲れ様でした!#紫咲シオン卒業LIVE pic.twitter.com/pEOyqSoDHb
— 柊椋@C106土曜西2た07b (@hiiragiryo) April 26, 2025
たとえば、VTuberのネームロゴは、もともとデザイナーがファンアートとして制作していたこともたくさんありました。それがやがて業界全体に普及し、ロゴを依頼する文化が広まっていったのです。さらに、ファンが配信の切り抜きを編集して公開したことをきっかけに、その技術を評価されてVTuber本人から依頼を受けるようになったケースも少なくありません。
うちささんの例
にじさんじ公式チャンネル:ぷちさんじシリーズに採用

また、配信の多様化や高品質化が進むにつれ、必要とされるクリエイティブの形も変化しました。たとえば歌を中心に活動するVTuberであれば、MV制作やオリジナル楽曲を依頼できる音楽系クリエイターが必要となります。
これらの活動の共通点は、もともと「好き」で制作していた作品が世に出て、それが仕事につながっていったことです。VTuber市場は、そうした循環を自然に受け入れる土壌があるため、二次創作と非常に親和性が高いと言えるでしょう。