ZOZOのAlexaスキル開発の裏側/オルビスが企画開始から約30日でスキルをリリースできた理由

ZOZOのAlexaスキル開発の裏側/オルビスが企画開始から約30日でスキルをリリースできた理由
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2019/07/08 07:00

 Amazon公式認定Alexaエージェンシーが中心となり、Alexaスキルをビジネスに取り入れている企業が一堂に集結したカンファレンス『VoiceUI Show ~2019 Spring~』が2019年5月30日に開催された。本イベントは、Amazonより公式に認定を受けたAlexaスキル開発エージェンシーが中心となり立ち上げられ、当日は企業のAlexaスキルの活用事例紹介やAmazon Echoでのデモ、無料相談などのコンテンツが用意された。本記事では、ZOZOテクノロジーズの中村友香さん、オルビスの早川貴久さんが登壇したセッションの様子をお届けする。

ZOZOテクノロジー流スキル開発5つのステップとは

 ZOZOテクノロジーズの中村友香さんは、「『声で操作する体験』をファッションサービスに落とし込むために。」をテーマに登壇。

 中村さんは、ZOZOテクノロジーズの研究開発部門にあたるR&Dのチームに所属。今後普及するであろう技術の先行研究を行っており、そのひとつとして、音声だけでお気に入りのコーデが見つかるAmazon Alexaスキル『コーデ相談byWEAR』を開発。2019年5月にリリースされた。実際のデモを交えながら、Amazon Alexaスキル開発の裏側について中村さんが解説。開発にあたりまず考えたのは、音声UIとファッションのあるべき姿だった。

「プロジェクト開始当初、音声UIでファッションの課題を解決しようということは決まっていたので、長期的な視点でみたときに音声UIとファッションはどうあるべきか、ということから考えをスタートさせました。

個人的な理想は、『アレクサ、今日は何を着ていけばいいかな?』と聞くと、『今日はプレゼンの予定もあるのでこんなコーディネートはいかがですか?今日は気温が30度になるので、半袖でも大丈夫ですよ』というように、カレンダーから予定を判断し、手持ちのアイテムからコーディネートの提案をしてくれること。でもこれをいきなり実現させようと思うと、カレンダーのデータをどうやって取るかとか、手持ちのアイテムはどう認識させればいいかなど、なかなか難しそうですよね。ですのでここでは一旦理想を掲げたうえで、今の音声UIとファッションの実情について調査を行いました。これふたつめのステップです」

 開発当初、日本ではディスプレイ付きのスピーカーは発売されていなかったため、海外のAmazon Alexaの事例からユースケースを読み込み、どのような課題を解決することができるかを洗い出した。だがこれだけだと課題解決が手段になってしまい、ユーザーのためのサービスとは言い難い。そう考え、ファッションやコーディネートに関する悩みごとをさまざまな層にヒアリングし、ペルソナを作りあげた。

株式会社ZOZOテクノロジーズ イノベーション推進部 プロデューサー 中村友香さん
株式会社ZOZOテクノロジーズ イノベーション推進部 プロデューサー 中村友香さん

 その次のステップでは、その課題とペルソナをかけ合わせて、サービスの種となるアイディアを出していった。その中で、実現の可能性がありそうなものをチームで見定め、プロトタイプの開発に取り掛かった。これが4つめのステップだ。実際に制作したプロトタイプの中でも主なプロトタイプは、下記の4つであった

  1. 服の組み合わせのアイディアを音声で教えてくれる
  2. 服の組み合わせがスマホのプッシュ通知で送信される
  3. スマートディスプレイを活用する
  4. 自身の手持ちのアイテムのコーデを閲覧できる

 実際に4つめのプロトタイプでは、これが朝の服選びの課題改善につながるかを検証。ペルソナに近い人に使ってもらうことで、手持ちのアイテムひとつをアレクサに伝えるだけであれば気軽に使うことができ、かつ再現しやすいコーデが見つかるのではないかという仮説が立てられ、この方向性で決まった。

 5つめのステップとして中村さんが挙げたのは「最大限プロダクトを磨き込む」こと。ここでこだわったという「仲良し度」の機能を解説し、今後の展望についても以下のように述べた。

「音声だけだと情報量が多くなってしまうので、たとえば、今アレクサを持っていないユーザーさんでも使いかたが想起できるようなチュートリアル動画の作成や、会話の流れの作り込みなどを行いました。また、ただの音声で検索するサービスではなく、コーデを相談したり、一緒に探すというところまで実現したかったのでAlexaスキルとの「仲良し度」を表示する機能を搭載しました。今後も『コーデ相談byWEAR』を通じて、音声UIとファッションのより良いサービス提供をしていきたいと思っています」

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