サイバー・コミュニケーションズ(CCI)は、デジタルインファクトと共同で、デジタルサイネージ広告市場に関する調査を実施。その結果、2020年のデジタルサイネージ広告市場規模は516億円の見通し(前年比68%)となり、2024年予測は、2020年比約2倍の1,022億円となった。
コロナ禍において、サービス産業全般にわたり、顧客への提供形態が見直されるなかで、広告・マーケティング手段としてのデジタルサイネージへの注目がさらに高まりつつあるという。業界全体で広告効果の可視化やその評価方法の標準化が進み、より多様な広告主の活用目的に対応する媒体として利用が促進されることで、2024年のデジタルサイネージ広告市場規模は2020年比約2倍の1,022億円規模に達すると予測される。
同調査の結果は、次のとおり。
2020年セグメント別デジタルサイネージ広告市場規模推計
交通
鉄道車両や駅施設、タクシー、バス、空港、航空機などが含まれる。
新型コロナウイルス感染症拡大により、2020年3月以降の交通機関の利用者数の大幅な減少以降、広告主によるデジタルサイネージ広告への出稿は大幅に抑制。生活者の巣ごもり需要を取り込んだオンラインサービスや、企業活動のデジタル化を促進する各種企業向けクラウドサービスを提供する広告主による出稿が牽引し、2020年後半以降需要回復の兆しがみられる。
鉄道車両では、低コストで設備投資負担が比較的少ないシステムの導入も進んでいる。また、一部ではプログラマティックによる広告配信の事例も出始めている。主要ターミナル駅では大型のLEDディスプレイの導入が進み、新しい広告商品として提供が始まっている。空港施設では、利用者の顧客導線を意識したデジタルサイネージ広告の新たな導入も進み始めている。
商業施設・店舗
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア・薬局をはじめとする小売店やショッピングモール、美容室、飲食店などが含まれる。スーパーマーケットにおいては、店内の販売促進活動において、従来の販売員による対面販売に代わる手法として、デジタルサイネージへの注目が集まっており、導入が進んでいる。小売店を通して自社製品を販売する食品・飲料メーカーなどの販促費からの広告出稿は、堅調に推移。
小売店側においては、来店者との新たなコミュニケーション手法として、あるいは収入手段としてデジタルサイネージ広告への投資意欲がますます高まっている。
スーパーマーケットやドラッグストアにおいては、広告会社との提携による広告商品開発や広告主顧客の開拓などの取り組みが進む。また調剤薬局のデジタルサイネージにおいても共通配信の仕組みが整備され、今後市場が拡大していくことが予想される。
屋外
コロナ禍の外出自粛により、2020年3月以降主要ターミナル駅付近での通行量が急減、広告主による出稿も抑制されたが、2020年後半以降は回復基調に。
また、大手広告事業者と、都市部の主なOOH媒体との提携が進み、プログラマティックな広告配信が可能な環境基盤が進んでいる。
2021年以降の広告需要の本格的な回復とともに、新たな需要の掘り起こしにつながることが期待される。
そのほか
地方自治体が、行政サービスや防災対策の一環としてデジタルサイネージを導入していくなかで、新たな収入手段としても注目し、広告媒体と合わせた開発・導入が進むことが期待される。
映画館(シネアド)もまた、コロナ禍で来場者数が激減するなど大きな影響を受けましたが、2020年秋以降の過去最大規模のヒット作の上映とともに、来場者数が急回復しており、2021年以降の本格的な広告需要の回復が期待される。
調査概要
- 調査対象:デジタルサイネージ広告関連事業者
- 調査手法:CCIならびに、デジタルインファクトが保有するデータ、公開データ、デジタルサイネージ広告事業にかかわる企業へのインタビュー調査
- 調査時期:2020年8月-10月
- 調査主体:サイバー・コミュニケーションズ
- 調査実施機関:デジタルインファクト