博報堂DYホールディングスは、MESONと進めている共同研究における新たな取り組みとして、現実世界とサイバー空間を融合させた新たなコミュニケーション体験構築プロジェクト「GIBSON(ギブソン)」を開始した。AR/VRそしてセンシング技術を活用することで、人、モノ・環境情報がリアルタイムに相互に共有され、物理的な距離を超えて体験の共有が可能となる、次世代のコミュニケーションプラットフォームを構築していく考え。
同プロジェクトは、現実世界の3Dコピーである「デジタルツイン」を用いて「サイバー空間」を構築することで、そこにログインする遠隔地のVRユーザーと現実世界のARユーザーとがあたかも同じ空間で場を共有しているようなコミュニケーション体験を可能にする。
また、センシング技術やデバイスを用いることで、ヒト・モノ・空間の情報を相互に共有することによって、ユーザーは現実世界かサイバー空間であることを問わず、リアルタイムに変化するお互いの環境コンテクストを共有しながら、物理的距離を超越した没入度の高いコミュニケーションを取ることが可能となる。
- 左:現実空間において、ARユーザーの視点から、遠隔地のVRユーザーのアバターがあたかも目の前に見えているイメージ
- 右:サイバー空間において、VRユーザーの視点から、遠隔地のARユーザーのアバターがあたかも目の前に見えているイメージ
現実空間(左)とサイバー空間(右)それぞれのヒト・モノ・空間の情報を相互に共有することによって、物理的な距離を超えて体験の共有を可能にする。
新型コロナウィルスの世界的な蔓延によって移動の制限・自粛や、密にならない空間の維持など、⽣活に大きな変化が求められている。観光やイベント、コマースといった事業者も同様に、従来の体験価値提供の方法に変革を迫られている状況を鑑み、両社は遠隔地との間に新たな形でのつながりを築き、新たな体験を創造することを目指す同プロジェクトを始動させた。
両社では、2019年よりARクラウド技術を核とした共同研究を推進しており、これまでのサービス検証から「現実空間とサイバー空間をつなぐ技術が次世代のコミュニケーションインフラとなる」との考えをもとに、実証実験・社会実装の動きをさらに加速させていくという。
同プロジェクトは2021年以降、観光やイベント、コマースの活用を期待し、2023-2025 年AR/VRグラスの普及が予測される将来において、コミュニケーションインフラとなることを目指すとのこと。現在はプロトタイプ制作とその技術・価値検証の途上にあり、どのような業界やユースケースにおいてよりユーザーに価値ある体験を提供できるか与えることができるかの検証を進めている。