パナソニック、VR等身大立体投影装置「汐留サイバードーム」リニューアルオープン 投影設備を入れ替え

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2021/05/21 05:00

 パナソニックライフソリューションズ社は、都市や建築の計画検討用VRの等身大立体投影装置として活用してきた「汐留サイバードーム」(所在地:東京都港区東新橋1-5-1)を2021年5月21日にリニューアルオープンする。

 同社のVR事業は1990年システムキッチンの設計段階で使い勝手を確認するために公開したVRシステムから始まり、その後30年間にわたり将来のさまざまな空間設計に応用できるVR技術を開発してきた。そして建築計画や都市インフラ整備、市街地再開発事業などのまちづくりにおいて、行政や設計者、コンサルタント、地域住民における合意形成を促す手法としてVRを用いたプロジェクト推進支援を行ってきた。

 2003年にオープンした「汐留サイバードーム」は、VR投影装置として多くのまちづくりで活用。幅8.5m、高さ7.5mの半球状の大型スクリーン内に利用者が入り、プロジェクターによる映像投影により、仮想空間の中に入り込んだ没入感のある顧客体験を実現している。約20名まで同時に閲覧することが可能なため、多人数の顧客が同じ仮想空間の中で同じ映像を見ながら協議できることで合意形成を支援するという。

 今回、これまでのランプ光源のプロジェクター18台から、レーザー光源のプロジェクター9台に入れ替え、投影面の均一性が高いスクリーンに変更。以前に比べ1.5倍の解像度、輝度を実現し、経年による明るさの欠損を抑える。また投影システムの入れ替えにより、VRコンテンツだけでなく、4K・8Kの高解像度な2D・3Dの360度映像、パノラマ静止画像を投影することができる。

 今後は観光・エンターテイメント分野での活用も視野に入れながら、オフィスやスポーツ、商業施設の空間設計コンサルティグや、運営状況の可視化、運用時の課題解決、改修計画検討など運営コンサルティングへの活用で幅広いビジネス展開を目指していく考え。

 同リニューアルの特徴は次のとおり。

プロジェクターとスクリーンを入れ替え、大型の投影装置にさらなる没入感を実現

 幅8.5m、高さ7.5mの半球状大型スクリーン内に利用者が入り、プロジェクターによる映像投影を行う。仮想空間の中に入り込んだ感覚を最大限まで高めた顧客体験を実現しており、歩く目線で街路樹の高さや道幅、段差を確認したり、鳥瞰で街を上空から見下ろし、街並みや建物の全景を眺めることができる。約20名まで同時に閲覧することが可能なため、大人数の顧客が同じ仮想空間の中で同じ映像を見ながら協議できることで多くのまちづくりにおける合意形成を支援してきた。

 今回、これまでのランプ光源のプロジェクター18台から、レーザー光源のプロジェクター9台に入れ替え、以前に比べ1.5倍の解像度、輝度を実現するとともに、経年による明るさの欠損を抑える。

 スクリーンはシルバースクリーンから投影面の均一性が高いグレースクリーンに変更。シルバースクリーンは反射率が高く、平面スクリーンには最適だが、汐留サイバードームのような曲面スクリーンの場合は、角度により反射率が異なり、均一な明るさにするのが難しい点が挙げられる。

 加えて高輝度なアクティブシャッター方式のプロジェクターに変更したことで、グレースクリーンにも十分な明るさを確保でき、より均一な明るさで鮮明に投影することが可能に。投影システムの更新によって、4K・8Kの高解像度な2D・3Dの360度映像やパノラマ静止画像を投影することが可能になった。

計画から運営までコンサルティングビジネスのツールとして活用

 これまでの同施設はVRを用いた計画検討支援やシミュレーションによるまちづくり・建築計画の合意形成に活用されてきた。今後は新たに、オフィスやスポーツ、商業施設における空間設計コンサルティングや運営時における実際の施設活用状況を把握したうえでより良いメンテナンスや改修支援を行うなど、運営コンサルティングへもビジネスを展開する。

 たとえば、公共空間ではイベント時のライトアップやプロジェクションマッピングの演出状況を可視化・共有し効率的な運営を行うことが可能。また、竣工後の実際の人の動きや設備の使われ方を可視化することで適切な照明や空調の設備制御を実現する。ほかにもオフィス空間における天井や壁に隠れた配管やダクトの様子を可視化することで、効率的なメンテナンスや改修計画の検討への活用を目指していくとのこと。