採用担当者7割以上が求職者のクリエイティブスキルを重視 10年でニーズ4.2倍の職種も/アドビ調査

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2021/07/12 05:00

 アドビは、総合転職情報サイト『マイナビ転職』の協力のもと、近年、容易な写真・動画の編集・加工を日常的に実施する業務が増えてきたことを背景に、転職市場におけるクリエイティブツールスキルのニーズの変化について調査を実施した。

 同調査では、「クリエイティブツールスキル」は、デザインや画像・動画の編集などのプロレベルのスキルではなく、ソフトウェアを使って、容易な写真・画像編集・加工、動画編集・作成、またイラスト作画・チラシやポスターのデザインなどができることを示す。また、「非クリエイティブ職」は、「クリエイティブ職」を除く営業、企画・経営、管理・事務などの職種である。

非クリエイティブ職の求人にクリエイティブツールスキル歓迎記載が増加 “管理・事務職”は10年で約4.2倍に増加

 マイナビ転職のサイト内で記載される「対象となる方」欄に、クリエイティブツールスキルを含む非クリエイティブ職全体の求人掲載総数は、2010年時点と比較した場合、2020年時点で約3倍に増加しており、その中でも「営業」では約1.9倍、「企画・経営」では約2.8倍、「管理・事務」では約4.2倍に増加していることがわかった。

 クリエイティブツールスキルとして求職者に求める具体的な業務内容として、近年ではInstagramやTwitterなどのSNS投稿に使用する画像編集業務、さらにECサイトやウェブサイト・ウェブ広告のデザイン制作補助などへのニーズが高まっていると推察される。

 数字が顕著に伸びている「管理・事務」では、商談や会議の多くがリモートに移行しつつある影響を受けて、これまでテキストやグラフなどで構成されていた営業資料を、遠隔でもより相手に伝わりやすい資料へと深化させるために、簡易なグラフィックの作成や説明動画などを制作できるスキルが求められる場面が増える傾向にある。

 また今回、アドビは、求人の掲載数には反映されていない、“非クリエイティブ職”におけるクリエイティブツールスキルのニーズを探るべく、企業の採用担当者と求職者を対象に、クリエイティブツールスキルの重要度に関するインターネット調査を実施した。

7割以上の採用担当者が「クリエイティブツールスキルの重要性が高まっている」と回答

 アドビが企業の採用担当者400名を対象に実施した調査によると、非クリエイティブ職においても「クリエイティブツールスキルの重要性が高まっているか」という質問に対し、7割以上の採用担当者が「クリエイティブツールスキルの重要性を感じている」ということが判明した。

クリエイティブツールスキルを必要とする理由 リモートワークによるビジュアルコミュニケーションの必要性も高まる

 非クリエイティブ職において「クリエイティブツールスキルの重要性が高まっている」と回答した企業の採用担当者への調査によると、クリエイティブツールスキルを必要とする企業が増えた理由として、64.3%が「業務の幅が広がるから」と回答し、次いで44.1%が「内製化・業務効率化」、37.1%が「提案力・営業力・企画力の向上」と回答。

 さらに、31.5%の採用担当者が「リモート環境で、イラストや写真、動画でのコミュニケーションが不可欠になった」と回答していることからも、コロナ禍のリモートワークによるコミュニケーションのあり方の変化を通じて、業務の幅が広がってきたことが考えられる。

クリエイティブツールスキル保有者には非保有者よりも月給を「平均3.4万円程優遇できる」

 また、採用担当者のうち7割以上が、クリエイティブツールスキルを持っている人材であれば、同等の能力でかつそのスキルを持っていない人材と比較した場合、月給を「平均3.4万円程優遇できる」と考えていることが判明した。この結果から、クリエイティブツールスキルを持っていることが雇用条件に大きく影響することがわかり、“非クリエイティブ職”におけるクリエイティブツールスキルへのニーズが浮き彫りになった。

求職者側の約3割はクリエイティブツールスキルを持ちながら採用の場でアピールできていない現状

 現在転職を考え、仕事を探している求職者200名への調査では、非クリエイティブ職への転職において、 クリエイティブツールスキルを持つことで、採用の場での優遇(年収・条件)が良くなることを理解しアピールしている人はわずか1割しかいないことがわかった。また、求人条件に記載が無いことで、約3割の人がスキルを持ちながら採用の場でアピールできておらず、自分がもっているスキルの価値を理解していない人が多いことも判明した。

 前項で述べた通り、7割以上の採用担当者が「クリエイティブツールスキルの重要性」を感じており、その事実を約9割の求職者が知らないということから、採用者と求職者の間に「クリエイティブツールスキルに対する重要性の認識」に乖離があることが判明した。

採用者が期待するクリエイティブツールスキルは「写真・画像編集ができるスキル」

 非クリエイティブ職において「クリエイティブツールスキルの重要性が高まっている」と回答した7割以上の企業の採用担当者への調査によると、求職者に期待するクリエイティブツールスキルは、「写真・画像編集」が60.5%で1位、「動画撮影・動画編集」が40.2%で2位となり、より画像や動画を使用した業務が増えており必要とされていることがわかる。

 一方、求職者の58.0%が「写真・画像編集」と「動画撮影・動画編集」のスキルを習得したいと考えていることから、プライベートでSNS投稿のための画像・動画編集など日常的に使用しているクリエイティブツールスキルを、仕事においても活用できるまでにスキルアップしたいと考えている求職者も多いことがわかり、採用者の求めるスキルと求職者の習得したいスキルが合致していることが判明した。

アドビ 調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:
    中途採用担当者 男女各200名 合計400名(1都3県+愛知+大阪)
    求職・転職者 男女各100名 合計200名(全国)
  • 調査期間:2021年4月16日(金)〜2021年4月18日(日)