日本財団は、誰もが快適に利用できる公共トイレを渋谷区内17ヵ所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の一環として、10ヵ所めとなる恵比寿駅西口公衆トイレ(デザイン:佐藤可士和氏)を設置した。
THE TOKYO TOILETは、渋谷区内17ヵ所のトイレを、性別、年齢、障害を問わず誰もが快適に利用できる公共トイレに生まれ変わらせ、多様性を受け入れる社会の実現を目指す、日本財団のプロジェクト。
トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴である一方、多くの公共トイレが「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」といった理由で利用者が限られている。本プロジェクトで設置する各トイレは、参画する国内外のクリエイターによってデザインされており、今回オープンする佐藤可士和氏デザインの恵比寿駅西口公衆トイレで10ヵ所めの設置となる。
佐藤可士和氏デザインの公共トイレは、恵比寿の駅前交番の横にオープン。「清潔」「安心」をコンセプトに、トイレとして「当たり前の配慮」のひとつひとつに向き合ってデザインした「真っ白なトイレ」(コンセプト名:「WHITE」)。また、人通りの多い駅前だからこそ極端に目立ちすぎないよう、入りやすく、使いやすく、一歩引いた清潔な佇まいにし、恵比寿駅を利用する人々の気持ちが少し明るく清々しくなるようにとの想いが込められている。
「THE TOKYO TOILET」では、2021年度中に17ヵ所設置予定。
クリエイター 佐藤可士和氏のコメント
<清潔・安心・調和>。多様性を受け入れる社会の実現を目的に実施された「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの参加にあたっては、公共のトイレに求められる“あたりまえのこと”をコンセプトとして臨みました。アルミルーバーにより明るく軽やかな印象を持たせ、都市の街並みに自然と馴染む静かな佇まいを心がけました。今回のプロジェクトは新築ですが、街中に存在する多くの公共トイレが<清潔・安心・調和>を獲得できるようなリノベーションの可能性も視野に入れながら考察しています。本プロジェクトのさまざまなデザイン案のトイレと共に、東京の公共空間の在り方を考えていくきっかけになることを願っています。
「THE TOKYO TOILET」ピクトサインについて
佐藤可士和氏はTHE TOKYO TOILETのすべての公共トイレで掲示するピクトサインのデザインも行った。佐藤氏より、「JIS規格を参考に、エレメントを整理しシンプルにしていくことで、どんなデザインのトイレにも合うように心がけました。視認性の良さに加え、ひとつひとつのパーツの角を丸くすることでユーザーに柔らかい印象を与えられるようデザインしています」とのコメントが寄せられている。
佐藤可士和氏プロフィール
クリエイティブディレクター/ SAMURAI代表
主な仕事に、国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロのグローバルブランド戦略やふじようちえん、カップヌードルミュージアム等のトータルプロデュース等。「ユニクロパーク横浜ベイサイド」「くら寿司浅草ROX店」では、特許庁による日本国内初となる内装意匠に登録(2020年11月)されるなど、ブランドをアイコニックに体現するクリエイションを幅広い領域で展開している。文化庁・文化交流使(2016年度)、慶應義塾大学特別招聘教授(2012-2020)、多摩美術大学客員教授。著書「佐藤可士和の超整理術」(日本経済新聞出版社)ほか。2021年2月-4月には「佐藤可士和展」が国立新美術館にて開催された。http://kashiwasato.com/
対象トイレおよび参画クリエイター一覧
THE TOKYO TOILETとは
トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴。しかし、多くの公共トイレが暗い、汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られている状態にある。本プロジェクトでは、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に利用できる公共トイレを2021年度中に渋谷区内17ヵ所に設置。本プロジェクトは、昨年の発表以来、国内問わず大きな話題を呼んだ。本年の取り組みでは、建築家の隈研吾氏、伊東豊雄氏、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏などが参画し、優れたデザイン・クリエイティブの力で、インクルーシブな社会のありかたを広く提案・発信していく。
加えて、訪れた人々が気持ちよく利用できるよう、従来に比べ清掃をはじめとしたトイレの維持管理を強化。これにより、利用者自身が次に使う人のためを思う「おもてなし」の心の醸成も目指していく。
なお、トイレの設計施工には大和ハウス工業株式会社、トイレの現状調査や設置機器・レイアウトの提案にはTOTO株式会社が協力している。