視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタルは、動画コンテンツと動画広告の利用動向調査「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2021(Nielsen Video Contents & Ads Report 2021)」と米国のNielsen Streaming Meter Dataをもとに、テレビ画面でのインターネット配信動画視聴動向についての分析結果を発表した。
近年、インターネットに接続されたテレビ=コネクテッドTV(以下、CTV)でのインターネット動画コンテンツ視聴が増えてきている。その結果、CTV上での広告市場規模は国内外で増加している。eMarketerによると、米国では2021年のCTV広告支出は134.1億ドルとなり、2025年には274.7億ドルに達すると予測されている。日本国内においても、CTVは消費者とコミュニケーションを取るための新たな接点として注目が集まっている。
2021年のニールセンの動画コンテンツと動画広告の利用動向調査「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2021(Nielsen Video Contents & Ads Report 2021)」によると、インターネット動画視聴者の19%CTVを使ってインターネット動画コンテンツを視聴。
国内ではCOVID-19の第5波への不安が続き、一部の地域では外出制限への呼びかけが実施されているなか、今後もしばらくは在宅時間が長いままとなることが想定され、動画コンテンツを視聴する時間が長くなる可能性があると考えられる。
今後、ワクチンの接種が進むにつれて、国内では社会活動が徐々に再開されていくことが予測されるが、この1年以上のコロナ禍中の生活で、エンターテイメントの楽しみ方やテレビからインターネット動画コンテンツを視聴することがすでに定着していると考えられるため、テレビ画面でインターネット動画コンテンツを視聴する割合は今後も高まっていくとみられる。
CTVが増えると、消費者がテレビ画面上でインターネット動画コンテンツを視聴する時間が増えていくことにつながります。そのような変化のなかでCTV広告の可能性を探るには、まず消費者のテレビ画面での広告型動画配信サービスの利用動向を把握することが必要となる。
ニールセン米国のNielsen Streaming Meter Dataによると、米国では2018年以降、テレビ画面での広告型動画配信サービスの利用時間が増えている。2021年の第1四半期におけるテレビ画面でのYouTubeの視聴時間は2018年同期と比べて約3.4倍増加し、14億時間から62億時間に達した。
米国では、消費者は定額制動画配信サービスだけではなく、広告型動画配信サービスをテレビ画面で視聴する機会も増えてきている。日本でも今後の流れとして、CTV利用の定着化や、テレビから見逃し配信サービスを含めた広告型動画配信サービスへのアクセスがより便利になるにつれて、米国のようにテレビ画面上での広告型動画配信サービスの利用が増えていくと推測される。CTV広告在庫の増加につれ、広告主が消費者とコミュニケーションをとる新たな接点としてCTVの活用が期待できる。
CTV広告について、まず期待できるのは、デジタル広告の強みでもある、地上波テレビではリーチできていない消費者にリーチできるという点。また、すでにグローバルでは活用されているが、テレビ画面でのターゲティング広告配信も可能になってきている。たとえば、米国では全数調査やアンケート、購買履歴、閲覧履歴などのデータをもとに広告配信のセグメントを構築し、テレビ画面でターゲットの消費者にパーソナライズされた広告配信が運用されている。日本国内ではテレビ画面でのターゲティング広告や効果測定はまだ開発中の部分も多いが、広告主として最新の動向を把握しながら、CTV広告配信を活用していくことができる。
調査概要
- 調査対象:パソコン、従来型携帯電話、スマートフォン、タブレットのいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している日本全国の15才(高校生)以上の男女、約3,000人を
- 調査期間:2021年3月10日~12日
2020年12月時点のPCおよびスマートフォンからのインターネット視聴率情報(PC版:ニールセン ネットビュー、スマートフォン版:ニールセン モバイルネットビュー)をもとに、消費者の記憶に頼らない各種動画サービスの利用実態(利用頻度や利用時間など)もレポートに含んでいる。