お客さまの声を“そのまま”記載 「ガチ声」からニーズを検証する方法とは

お客さまの声を“そのまま”記載 「ガチ声」からニーズを検証する方法とは
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 プロダクト開発やサービス運営において、どんな職種でも求められる「顧客理解」。本連載では、マーケティング動画クラウドサービス「リチカ クラウドスタジオ」の森長さんが、UIUXデザイナーとして顧客を理解するために日々取り組んでいることを各回ごとにピックアップ。第2回で取りあげるのは「ガチ声」についてです。

 こんにちは。株式会社リチカUI/UXグループでプロダクトデザインを担当している森長( @kinacomoriiii)です。普段は、プロのノウハウを活用したマーケティング動画クラウドサービス「リチカ クラウドスタジオ」のUI/UX改善などを行っています。

 「元銀行員のUIUXデザイナーが顧客理解のために行っていること」という連載テーマのもと、第2回では「顧客の声“ガチ声”からニーズを検証する」についてお伝えしていこうと思います。

ガチ声とは「お客さまのありのままの声」

 まずは、「ガチ声」とはそもそも何かについて説明していきます。

 ガチ声とは「ガチお客さまの声」の略で、ビジネスサイドのメンバーがお客さまとの商談や定例などで聞いた「顧客のありのままの声」のことを指します。いただいた声は型化されたSlackのチャンネルに蓄積されて、一覧で見ることができます。

 ガチ声で大切にしているのは、お客さまの声を装飾せずにありのままを記載することです。担当者が自身の解釈を加えることなくそのまま記載するので、私たちプロダクトチームはクリアな状態でお客さまの声や意見、要望、困っていることを知ることができます。

ガチ声からニーズを探る際のポイントとは

 ありのままの声が投稿されている「ガチ声」ですが、そのなかで気をつけているのは「本当の課題は何かを深ぼること」と「優先度づけを意識すること」のふたつです。

1.本当の課題は何かを深ぼる

ガチ声にはありのままの声を「顧客の要望」として挙げていくのと同時に、「要望の背景」も記載してもらっています。お客さまからの要望をそのまま反映していくこともあるのですが、その声の裏側にある“本当の課題”は何かを考える際に役立つからです。

たとえば具体的な要望として「〇〇の機能をつけてほしい」という声が挙がったときは、プロダクトを使う中でどこのフローにつまずいて、なぜその機能を欲しいと感じたのか。その背景まで深ぼるようにします。

そこからさらに詳しくヒアリングをしたり、どういった改善案が挙げられそうなのかなど、お客さまが挙げた要望以外の解決策をブレストしたりすることもあります。ありのままの声を記載することで、課題解決へのアイディアをより広げることができます。

2.優先度づけを意識する

ガチ声チャンネルには日々たくさんの声が更新されていきますが、投稿された声を順番にすべて改善するわけではありません。

その判断をするときに大切にしているのが「優先度づけ」です。私たちのプロダクトが目指す方向性や、開発にかかる時間やリソース、緊急度なども全部加味したうえで開発するようにしています。

また、自分のなかで「これはすぐ改善できそう」と行動を起こすことがあったとしても、チームメンバーから「これっていま必要なのかな?」と問いをもらうこともあります。そんなときには、プロダクトの目指す方向性や今後について改めてすり合わせをすることもでき、“立ち止まる”ということも意識しています。

さらに、ビジネスサイドともこうした優先順位の認識を合わせるため、定期的に「ガチ声会議」と呼ばれるMTGを行っています。双方で正しい優先順位で進んでいるのかどうかなどを議論し、すり合わせるようにしています。

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