ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下、ソニーCSL)は、AIアシスト楽曲制作アプリ「Flow Machines Mobile」(以下、FM Mobile)の提供を日本と北米で開始した。
同社ではAIを主軸にした研究テーマのひとつとして、2012年よりアーティストのクリエイティビティを拡張する「Flow Machines(以下、FM)プロジェクト」を展開。2019年にはデジタルオーディオワークステーション(以下、DAW)上で機能するプラグイン型のツールである「Flow Machines Professional」を開発し、ソニーグループ内で活用することで、国内外で数多くの楽曲が制作されてきた。今回、新開発したiOS向けモバイルアプリFM Mobileは、各種DAWプラグインとも連携して機能するクラウド型の楽曲制作用AIツールとなる。
なお、FM Mobileは今後、欧州各国においても提供予定となっている。
FM Mobileの特徴
FM MobileはAIを活用し、クリエイターの望むスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースラインを提案する。曲のスタイルを表現するため「スタイルパレット」という独自の概念を採用。スタイルパレットは音楽データを解析した機械学習モデルで、ソニーCSLが開発した各種プリセットのほか、アプリ内で作曲者自身が新たにオリジナルのスタイルパレットを作成することも可能となっている。自分の音楽スタイルを残しながらも、新たな発想につながるメロディーをAIに生成させることができる。
FM Mobileによる楽曲制作手順
FM Mobileでは作りたい曲のジャンルとコードに合わせてスタイルパレットを選択し、「compose」ボタンを押すと、選択したコード進行に合わせてAIにより8小節ごとにメロディーが生成される。音符の長さやメロディーの複雑さを調整するパラメータを変更することで、より意図に沿った提案をAIから受けることができる。気に入ったメロディーを保存し、FM Proを使ってDAWに取り込むことも可能。なお、FM MobileのデータはMIDIデータのため、iPad上で気に入ったメロディーをAppleの楽曲制作ソフトウェア「GarageBand」に取り込み、素材としてそのまま使うことも可能とのこと。