日本板硝子、英 Cohda社と共同で電子機器にワイヤレスで送電するガラスアプリケーションを製作

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2021/10/27 05:00

 日本板硝子(以下、NSG)は、Cohda Design Limitedと共同で、各種電子機器にワイヤレスで送電するガラスアプリケーションを製作したことを発表した。

 同アプリケーションでは、同社のTEC透明導電膜付きガラスとCohdaのパワータップ(PTap)ワイヤレスパワー技術を組み合わせることにより、ワイヤーの役割を果たすガラスの透明導電膜を通じて、ワイヤレスで電気やデータをあらゆる電子機器に送ることができる。複数の透明導電付きガラスで中間膜を挟み込んで正(プラス)と負(マイナス)の電荷に分かれたふたつの電流層を作り、外部からの電流を流す。ガラスの表面にその2層をつなぐタップ(接続点)を配置することにより、タップに置かれた電子機器に電気を供給する。

 両社のコラボレーションにより、設計士、建築家、技術者などのニーズに応じて、この仕組みを使った多様なアプリケーションの製作が可能。初期のアプリケーション例としては、小売店舗向けの、携帯電話やカメラなどの電子機器をワイヤレスで充電するディスプレイスタンドなど、自動車分野ではフロントガラスに組み込まれたヘッドアップディスプレイのスクリーンに送電するアプリケーションなどがあるという。

 将来の用途としては、たとえば、アートギャラリーや美術館では、ワイヤレスで埋め込まれたLED照明が、ガラス陳列棚を美しく照らすことが可能。未来のキッチンでは、透明なガラスカウンター上の随所に電力を供給することによって、鍋、やかん、トースターなどの調理家電の使用が可能になり、さらにこのガラス面を使ってワイヤレスで携帯電話の充電もできるとのこと。

 NSG TEC透明導電膜付きガラスは、高透過率、ガラス表面のコーティング膜の高耐久性や熱処理が可能といった特徴から、P-Tap技術とのマッチングにより、幅広いデザインや用途の課題に対応することが可能となる。