NTTドコモら、5Gを活用しモバイル通信でリモートからアニメCGを制作する実証実験に成功

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2022/01/21 06:00

 スプラッシュトップ、カラー、ワコム、NTTドコモは、4Gの通信網に切り替えず、5Gの高速通信・超低遅延などの能力を引き出せる「スタンドアローン(SA)方式」の5Gを活用し、モバイル通信でリモートからアニメCGを制作する実証実験を2021年12月22日(水)に実施し、成功したことを発表した。5G SAと高性能GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を活用したMEC環境によるリモートデジタル作画で、同実証はドコモの5G SAによる超低遅延の特徴が生かされた最初の取り組みとなる。

 同環境により、アニメCG、建設BIM、製造デザインCAD、金融、メディアなどの業界で使われている高性能なパソコンをオフィス以外の場所に持ち運ぶことなく、一般的なパソコンおよびタブレット、スマートフォンを用いてセキュリティーの高いモバイル通信環境にて業務を行えるようになる。

 アニメCGの制作現場は旧来のオフィスでの制作活動が一般的だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、在宅での制作活動への対応が必要となった。しかし、アニメCG制作は、ワークステーション相当の性能を持つパソコンを準備する必要があり、在宅ではオフィス環境と同等の性能および操作性を持つリモート環境を用意することができないため、制作活動の遅れに直結する課題を抱えていた。また同時に、制作活動は閉じられたネットワーク環境で行う必要があり、非常に高いセキュリティーレベルが求められるという課題もあるという。

 同実証では、ドコモが提供するクラウド基盤サービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」に、高性能なNVIDIA GPUとスプラッシュトップのリモートコンピューティング技術を用いたエッジサーバーを構築し、5G SAで「クラウドダイレクト」による閉域接続を行い、最大4Kの解像度と高フレームレート(60fps)の画面転送を実現した。

 今回、アニメCG業界での利用を想定し、カラーに所属するクリエーターが、ワコムが提供する液晶ペンタブレットを用いて、高解像度・高フレームレートで液晶ペンタブレットにおけるデジタルペンの筆圧および傾きなどの信号を検知し、オフィス環境と同等の操作性で描画も円滑に行えることを確認した。