サイバーエージェント、「Metaverse Architecture Lab」を設立 建築家の隈研吾氏が顧問に就任

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2022/07/12 12:00

 サイバーエージェントは、メタバース空間における建築物や空間デザインの研究・企画・制作を目的に、専門組織「Metaverse Architecture Lab(メタバースアーキテクチャラボ)」を2022年7月に設立。ならびに、建築家の隈研吾氏(建築家、東京大学特別教授・名誉教授)が顧問に就任した。

 本組織では、隈研吾氏とともにメタバース空間ならではの空間デザインや、ユーザー体験・ブランディング価値を高めるバーチャル建築物のありかたについて研究に取り組み、アパレルなどのブランド企業や小売企業の販促およびブランディング活動において、新しい価値を生み出すバーチャル建築物を制作する。また商業空間のみならず、複合施設や仮想都市などの開発や、メタバース空間だからこそ実現できる建築のコンセプト設計、コンテンツ企画やユーザー体験の設計など、バーチャル建築物のアーキテクチャ概念の検証から実証実験、プロトタイプの作成まで取り組んでいく。

設立の背景・目的

 昨今メタバース空間では、実在する都市と連動した「都市連動型メタバース空間」の構築をはじめ、仮想都市の土地開発や売買、小売やメーカーの「バーチャル店舗」建設など、バーチャル建築物においてさまざまな取り組みが活発に進んでいる。

 同社はこれまでも、バーチャル店舗開発に特化した事業会社として株式会社CyberMetaverse Productionsを2022年2月に設立し、メタバース空間における企業の販促活動を支援してきた。顧客企業からはバーチャル店舗の役割として、外観・内観ともにブランドのオリジナルの世界観を表現する場であるとともに、ユーザーのブランド体験価値や顧客エンゲージメントを高める場として期待が高まっている。

 今回設立した新組織「Metaverse Architecture Lab」では、簡易テンプレートで構築するバーチャル店舗や、実在する街並みや実店舗などを再現したデジタルツインの空間・建築物だけではなく、建築基準法など現実世界の物理的な制約から開放されたオリジナルのメタバース空間を構築することで提供できるユーザー体験や、ブランド体験の価値を高める空間デザイン、バーチャル建築物のありかたを定義していく。

 また、本組織設立にともない、メタバース空間のバーチャル建築物ならではの価値創造に取り組む空間デザイナーやCGアーティストなど、クリエイター・デザイナー職の採用を強化し、さらなる体制強化を図る。

 同社は今後も「Metaverse Architecture Lab」を通じ、建築家をはじめ、空間デザイナーやコンセプトアーティストなどさまざまな分野で活躍するクリエイターと、従来の概念にとらわれないメタバース空間だからこそ実現できる空間デザインや建築物の研究・企画、新しい価値創造に取り組むとともに、企業の新たなマーケティング活動の拡大に貢献していく。

隈研吾氏のコメント

(c) J.C. Carbonne
(c) J.C. Carbonne

プロフィール

1954年生。東京大学大学院建築学専攻修了。1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。 1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の代々木屋内競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を目指す。大学では、原広司、内田祥哉に師事し、大学院時代に、アフリカのサハラ砂漠を横断し、集落の調査を行い、集落の美と力にめざめる。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。これまで 30ヵ国を超す国々で建築を設計し、(日本建築学会賞、フィンランドより国際木の建築賞、イタリアより国際石の建築賞ほか)、国内外で様々な賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のありかたを追求している。