Z世代の約5割がSDGsに配慮した商品の購入経験あり/SHIBUYA109 lab.調査

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2022/09/22 07:00

 SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるウェブ調査と同機関の独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」を行った。

7割以上が環境にやさしい取り組みを実施するも低い自己評価 エコフレンドリーが日常化するZ世代

 Z世代に「社会的課題の解決に対して興味関心があるか?」と聞いたところ、「関心がある」が41.0%、「すごく関心がある」が15.8%となり、合わせて関心がある回答者は56.8%と半数以上となった。

 同機関では2020年にも同様の質問を実施しており、その際にも関心がある回答者は59%となっていることから、Z世代の社会課題に関する関心度は、2年間ほぼ同水準で推移していることがわかる。

Q.社会的課題解決に対して興味関心があるか?(単一回答)2022年:n=400(男性:200/女性:200)/2020年:n=800(男性:400/女性:400)
Q.社会的課題解決に対して興味関心があるか?(単一回答)
2022年:n=400(男性:200/女性:200)/2020年:n=800(男性:400/女性:400)

 SDGsへの関心だけではなく自らの行動に関する意識にまで落とし込むと、社会的課題解決のために「すでに取り組んでいることがある」という回答が9.3%であるのに対し、「関心はあるが、具体的に取り組んでいることはない」が35.0%、「具体的に取り組んでいることはないが、情報収集をしている」という回答が27.0%となり、関心はあるものの行動に移せていないと推察される。

Q.社会的課題解決に対してのあなたの現状について(単一回答)n=400(男性:200/女性:200)
Q.社会的課題解決に対してのあなたの現状について(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200)

 ただし、実際にSDGsや社会的課題に関連する行動について「実施したことがあるもの」について聞くと、何らかの行動を起こしている人は7割以上に。具体的には、「エコバッグを使う・ビニール袋などを断る」(45.3%)「マイボトルを利用する」(31.5%)、「廃棄を減らすために今あるものを長く大事に使う」(23.8%)などの取り組みが行われていた。

Q.SDGsや社会的課題の解決手段として、実施したことがあるものはどれか(複数回答)n=400(男性:200/女性:200)
Q.SDGsや社会的課題の解決手段として、実施したことがあるものはどれか(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)

 「自分たちのSDGsへの関心・取り組みが不十分だ」という意識がある一方で、実際の取り組みを聞いてみると環境にやさしい活動に積極的な姿勢がうかがえた。膨大かつ多様な情報に触れる機会の多い現代社会において、社会的課題に対して積極的に取り組み、発信している人を見る機会が多く、その人たちと比較してしまう傾向にあり、自分の意識や行動を過小評価し、“実際の自分の行動”と“行動への評価”に不一致が生じていると考えられる。また、社会的課題を強く意識せずとも、エコフレンドリーな振る舞いがZ世代では当たり前になっていることがうかがえた。

 SDGsのなかで、Z世代が課題に感じる内容を項目ごとに見ていくと、「日本がより力を入れて取り組むべき課題」としては「ジェンダー平等を実現しよう(42.8%)」「貧困をなくそう(41.3%)」「働きがいも経済成長も(39.5%)」が上位となり、「多くの企業が取り組むべき課題」としては、「働きがいも経済成長も(34.8%)」「ジェンダー平等を実現しよう(32.5%)」「すべての人に健康と福祉を(29.5%)」が上位となった。

Q.SDGsに関して取り組むべきだと考える課題について(複数回答)n=400(男性:200/女性:200)
Q.SDGsに関して取り組むべきだと考える課題について(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)

SDGsに配慮した商品を5割が購入経験有 課題は価格や情報の透明性か

 消費行動についてさらに深掘りすると、「SDGsや社会的課題に配慮して商品を購入したことがあるか」という質問に対し、「購入経験有」という回答が50.1%と約半数となった。

Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入したことはあるか(単一回答) n=400(男性:200/女性:200)
Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入したことはあるか(単一回答)
n=400(男性:200/女性:200)

 購入経験有という回答のうち28.3%は「意識して買ったことはないが、たまたまそうだった」と回答しており、グループインタビューでも「購入した後に容器がリサイクルできると知って、無意識にSDGsに貢献できていたことを知り、嬉しくなった」「いつも購入しているものが地球に優しい活動につながっていると知ると、これからも買おうと思う。もっとアピールしてほしい」という意見が聞かれ、事前に知らなくても購入後にSDGsへの取り組みを知り、ブランドへの愛着が深まる例があった。また、グループインタビューにて「SDGsや社会的課題に配慮した商品を積極的に買いたいと思うか」と聞いたところ「似た商品で迷った際には、環境に配慮した商品を選ぶ」「商品が並んでいたらラベルレスを選んでいる」という回答が多数見られた。

 実際にSDGsや社会的課題に配慮して商品を購入した理由を聞いてみると、上位は「地球や社会に良いことをしたいから(45.5%)」「節約になるから(32.0%)」「似た商品で迷ったので、少しでも地域や社会に良い方がいいと思ったから(28.5%)」という回答となり、積極的にSDGs商品を選ぶほか、購入時に迷った際に購入する基準として考慮されていることがわかる。

Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入した理由(複数回答)n=200(男性:101/女性:99)
Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入した理由(複数回答)
n=200(男性:101/女性:99)

 一方で、「SDGsや社会的課題に配慮した商品を購入していない理由」を聞いたところ、「値段が高いから(19.5%)」「購入するメリットがよくわからないから(16.0%)」、「どこで売っているのかわからないから(12.5%)」という回答が上位となった。

Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入していない理由(複数回答)n=200(男性:99/女性:101)
Q.SDGsや社会的課題の観点から商品を購入していない理由(複数回答)
n=200(男性:99/女性:101)

 そのほか、「SDGsや社会的課題に対して、どういった商品やイベントなら購入・参加しやすくなるか」という質問に対しては、上位の回答が「価格が安い・ポイントがもらえる(29.8%)」「無理のない値段で始められる(29.3%)」「なぜ地球や社会にいいのかしっかり説明されている(28.5%)」「地球や社会への貢献度が分かりやすい(26.5%)」「節約になる(24.3%)」となり、社会的課題への取り組みに、“金銭面でのメリット”と“情報の透明性や丁寧な説明”が求められていることが判明した。

 グループインタビューでも、「ポイントでエコバッグをもらえたので使っているが、購入するかというと微妙。次もポイントで貰えるなら使いたい」「小銭を持つのが嫌いなので、小銭をもらったら募金箱に入れるようにしている」という回答など、自分が享受できるメリットを重視する回答が得られている。

 さらに「露骨に環境に良くないものは買わないようにしているが、SDGsに配慮している商品も実情はわからないので、闇雲にSDGsに配慮した新しい商品を購入せず、いつも購入しているものを長く使うように意識している」「SDGsは商品のアピールにもなるので、プロモーションに利用されているのでは?と考えることがある」などの意見が聞かれ、Z世代の情報収集のリテラシーの高さ・慎重さがうかがえた。

7割がSDGsに取り組む企業に好印象 企業のSDGsへの取り組み姿勢が就職先の志望度にも影響

 SDGsと企業のイメージに関して、「SDGsや社会的課題に取り組む商品やサービスを取り扱う企業に対してポジティブな印象を受けるか」という質問に、約7割のZ世代がポジティブな印象を受けると回答しており、特に「その企業の商品やサービスを使ってみたい(29.5%)」がもっとも多くなっていることから、商品の購入意向も高まっていることがわかる。グループインタビューでは、消費者としてだけではなく、就職先を選ぶ視点においても、SDGsへの意識が企業イメージに影響しているという声も聞かれた。「SDGsに取り組む企業のほうが世の中の流れを把握できている印象がある」「似たような就職先で迷ったら、SDGsに取り組んでいる企業を優先したい」という声があがっていた。

Q.SDGsや社会的課題に取り組む商品やサービスを取り扱う企業に対してポジティブな印象を受けるか(複数回答)n=400(男性:200/女性:200)
Q.SDGsや社会的課題に取り組む商品やサービスを取り扱う企業に対してポジティブな印象を受けるか(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)

 また、「SDGs」という言葉に対して「よく聞く・目にする」という回答が76.3%、「イメージはない・よくわからない」という回答が15.5%となったのに対し、「サステナブル・サスティナブル」は「よく聞く・目にする」という回答が46.8%、「イメージはない・よくわからない」という回答が37.5%、「エシカル」に至っては、「よく聞く・目にする」という回答が19.0%、「イメージはない・よくわからない」という回答が64.3%で、言葉を理解していない層が半数以上となり、使用する言葉によって大きく理解度が変わることが判明した。同じように環境に配慮した商品でも、商品説明やキャッチフレーズに使用する言葉によってZ世代への印象が変わることが予想される。

 グループインタビューでもSDGsに関しては「カラフルなロゴのイメージが強く、『SDGs』というワードもポップで親しみやすいものに感じる」「SDGsと聞くと、地球にとって良いことをしているとわかる」といった発言が多い一方で、「サステナブルは環境に関するテーマに絞られるイメージ」「SDGsのほうがより範囲が広い気がする」「エシカル消費はあまり聞いたことがない」といった声があった。

Q.【SDGs】【サステナブル・サスティナブル】【エシカル】 これらのワードについてどんな印象を持っているか(複数回答)n=400(男性:200/女性:200)
Q.【SDGs】【サステナブル・サスティナブル】【エシカル】これらのワードについてどんな印象を持っているか(複数回答)
n=400(男性:200/女性:200)

アンケート調査概要

ウェブ調査

  • 調査期間:2022年8月
  • 調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
  • 居住地:一都三県
  • 性別:男女
  • 年齢:15~24歳
  • 対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
  • 回答者数:400名(男性200名/女性200名)

SHIBUYA109 lab.による定性調査(グループインタビュー)

  • 対象者条件:大学生男子4名、女子4名 2G 合計8名 ※そのほか過去定性調査をもとに考察