マイナビが運営する総合転職情報サイト『マイナビ転職』と、Z世代を対象としたシンクタンク組織『Z総研』の共同プロジェクト『はたらきかたラボ』では、Z世代の「SDGs×働き方」について、調査を行った。なお、同調査では1995年以降生まれの若年層をZ世代と定義している。
『はたらきかたラボ』とは
『マイナビ転職』を運営するマイナビのZ世代社員と、Z総研に所属するリアルZ世代メンバーたちが主体となり、Z世代の働き方や生き方を調査データから導き出すプロジェクト。毎月テーマを決めてアンケートを実施し定量的な調査をするとともに、座談会でZ世代の生の声を聞くことで、Z世代を取り巻く状況、理想の働き方や生き方を紐解いていく。
第7回目の調査は、Z世代の「SDGsに対する意識」を深掘りするため、Z総研が運営するリアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケートを実施。その結果をもとに『マイナビ転職』の若手社員とZ総研メンバーが座談会を行った。
同調査結果の詳細は、次のとおり。
8割以上がSDGsに「興味あり」 その鍵は「自分ゴト化」できるか否か
アンケートで「SDGsに対して興味・関心はあるか?」とたずねたところ、42.5%が「非常にある」、44.0%が「ある」と回答し8割以上のZ世代がSDGsに興味・関心を持っていることがわかった。
はたらきかたラボメンバーにも同様の質問をしたところ、6人中5人が「ある」、1人が「あまりない」と回答。それぞれ理由についてもたずねてみると「ある」と回答した人は「小学校の頃に環境問題の授業が週に1回あり、その頃からそういう問題を身近に感じていた。大学生になって周りがSDGs関連の研究や仕事をしているのに影響されてさらに興味を持つようになった」という意見があった。また、「あまりない」と回答した人は「SDGsを自分ゴト化できないのが本音。コロナで外国に行くこともできない現状で今はそこまで興味を持てない。実際にいろいろなことを体験できるようになったらもっと自分ゴト化して考えられるんだろうなと思う」という理由があった。日常生活や仕事・勉強などを通じてSDGsの問題を身近なものとして「自分ゴト化」できるかどうかが、SDGsに対して興味・関心を持てるかどうかの大きな軸となっている様子がうかがえる。
17の目標のなかでもっとも興味・関心が高いのは「ジェンダー」
次に、「SDGsの17の目標について、もっとも興味・関心が高いのはどの項目か?」という質問では、「⑤ジェンダー」が28.4%ともっとも高く、その理由について自由回答で聞いてみたところ「インフルエンサーの発信から興味を持った」や「知り合いにトランスジェンダーの人がいる」などSNSやメディアからの影響や身近な人がきっかけで興味・関心を持ったという意見があった。
はたらきかたラボメンバーにも同様の質問をしたところ、①貧困:1名、⑤ジェンダー:2名、⑥水とトイレ:2名、⑯平和と公正:1名という回答に。①貧困を選んだ人の理由については「海外旅行に行った際に、その国の経済格差を肌で感じたから」と、自身の体験を通じて興味を持ったという意見があった。また、⑤ジェンダーを選んだ人の理由については、「最近だと芸能人の夫婦関係が話題になったのをニュースで見て興味を持った」や、「ジェンダーに関するニュースはTwitterのトレンドにもよく上がっていて目につきやすい。有名人がそういった問題に向き合っていることで、ジェンダーに関する話題に触れる機会は多くなった気がする」など、時事ニュースで取り上げられている社会課題に対して興味・関心を持つようになった人も多かった。
さらに、はたらきかたラボとして「働き方」に関する目標についてもメンバーに質問をした。「⑧“働きがい“のある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)とは、どういう仕事だと考えているか?」と聞いたところ、「自分のやっている仕事にやりがいを感じられるかどうか。仕事内容の意味を理解していて、勤務体系にも納得していること」や、「最低限、自分の主張や意志を通せる職場環境と、働く体力をしっかり蓄えられるだけの休息や働きに見合った給料を得られる仕事」、「その人が尊重される働き方。働く個人が大事にされながら、充足感を感じて働けられるかどうか」といった業務内容や環境、制度などに対して自分自身が納得感・充実感を持って働ける仕事という意見があった。
さらに、「持続可能な仕事とはどのような仕事(働き方)だと考えているか?」と質問してみたところ、「業務量が適切でその人にとって無理なく続けていける仕事。いろんな会社に勤めている人と話をするなかで、多少無理があっても自分のキャパシティをオーバーしない程度の業務量を続けていける仕事が持続可能なのかなと感じる」といった仕事とプライベートのバランスが適切な働き方という意見や、「プライベートが充実しているのが大前提で、それに加えて誰かのためになっていたり社会が良くなっているということを感じられたりする仕事。やりがいを感じた方が続けられるし、企業目線で見ても儲かるのでwin-winな関係性になれると思う」など、働く個人が充実感を持つことで結果的に会社の利益にもつながるという大きな視点で「持続可能な仕事」について考えているZ世代もいた。
9割以上がSDGsの取り組みをしている企業に「好感が持てる」
また、「SDGsの取り組みをしている企業に好感が持てるか?」という質問では、61.4%が「非常に好感が持てる」、31.9%が「どちらかといえば好感が持てる」と回答し、9割以上のZ世代がSDGsの取り組みをしている企業に対してポジティブな印象を持っていることが判明した。
はたらきかたラボメンバーも6人中1人が「非常に好感が持てる」、残りの5人が「どちらかといえば好感が持てる」と回答し、アンケート調査の結果と同じくSDGsの取り組みをしている企業に対して良い印象を持っていた。また、「ボディークリームの会社が容器を店舗でリサイクルするとポイント贈呈する取り組みをしていたり動物実験を絶対にしないと発信していたりすることを知り、その会社の商品を使いたいなと思った」など、SDGsの取り組みを好意的に感じるだけにとどまらず、SDGsの取り組みをしているかどうかを商品選択の際に意識しているという意見もあった。
そこで、「SDGsについての取り組みをしているかどうかが企業選択の軸になったり、条件になったりすることはあるか?」とたずねたところ、「アンテナが敏感な企業だと思うし、取り組みに対してマイナスな感情を抱くことはない。ただ、自分が仕事を探すときにはその会社がどんな取り組みをしているかよりも業務内容に興味を持つことが多いので、企業がSDGsに取り組んでいるかどうかが職業選択の軸になることは少ないと思う」というように、SDGsの取り組みをする企業の姿勢に対しては好意的な印象を持つ一方で、企業を選ぶ基準までにはならないという意見もみられた。
「SDGsに興味関心が高い」と言われるZ世代の本音
最後に、はたらきかたラボメンバーに「“Z世代はSDGsに興味・関心がある”という内容の記事が世の中的に多いことに対してZ世代はどう感じているのか」と質問したところ、「“SDGsの項目をすべて言えるか?”と聞かれても言えないし、“SDGsに関する取り組みを何かしているか?”と聞かれたらどこまでがSDGsかは正直わからない。ただ項目を改めて確認すると意外と自分が行動していることもあるという感じ」といった意見や、「就職活動で企業側から面接でSDGsについて聞かれたときのために、建前的に“興味がある”と言っている人が実は多いと思っている。ただSDGsにみんな全く興味がないというわけではなくて、ジェンダーや格差など、SDGsに含まれているそれぞれの項目について関心が高い人は多いと思う」、「“Z世代だからSDGsに興味あるでしょ?”というのは乱暴。自分の周りでも興味がある人はあるし、ない人はない」など、当事者としての率直な意見を聞くことができた。また、SDGsの項目に含まれる課題のカテゴリーが広範囲であるため、SDGsをきっかけに社会課題に対して興味を持ったというよりは、以前から注目していたり行動していたりしたことが「実はSDGsに関連していた」ことを後から知ったという人もいた。
調査概要
- 調査時期:2022年7月12日~7月17日
- 調査機関:Z総研
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国男女18~25歳 207名
『はたらきかたラボ』オンライン座談会
- 実施日:2022年9月1日
- 参加者:マイナビ転職メンバー3名、Z総研コミュニティ所属メンバー3名、はたらきかたラボ所長 道満綾香(Z総研) 計7名