電通デジタルは、デジタル広告の運用型広告において、広告クリエイティブ制作のプロセスをAI活用によって革新する「∞AI(ムゲンエーアイ)」を開発した。広告クリエイティブ制作プロセスにおいて、効果予測だけでなくクリエイティブの発想、生成、改善の一連の工程をAIによって包括的に支援する。
近年、デジタル広告において、広告主がターゲット(配信対象者)や入札額(予算)、クリエイティブ(配信内容)をリアルタイムに変更・改善していく運用型広告の活用が進んでいる。広告効果を高めるためにコントロールする3つの要素の中でも、ターゲットと入札額においては、広告配信プラットフォーム側でのAI活用による自動化が進み、運用面の効率化が行われている。こうした中、さらなる広告効果の改善に向けて重要となるのが、もうひとつの要素であるクリエイティブ。多様なニーズを捉えた質と量、さらにリアルタイムに改善していくスピードが求められており、それらを実現させるため広告クリエイティブ制作においてもAI活用が注目されている。
一方、広告クリエイティブ制作におけるAI活用は、現在では広告効果予測に重点が置かれているのが現状である。それに対し、この「∞AI(ムゲンエーアイ)」は、効果予測はだけでなく広告クリエイティブ制作プロセス全般の支援が可能な点に特徴がある。
具体的には、制作プロセスの4つの工程「訴求軸発見」「クリエイティブ生成」「効果予測」「改善サジェスト」において搭載された各AIが、一連の流れを途切れることなく支援が可能となり、広告クリエイティブ制作プロセスを革新させる。
また「∞AI(ムゲンエーアイ)」は、「人に寄り添い、人の可能性を拡張するAI」をコンセプトに、クリエイターの発想支援にも着目している。データ分析と予測だけではない、広告クリエイティブ制作において重要な生活者のインサイトを捉え、また国内電通グループが強みとするクリエイターの能力を拡張するAIツールであることから、無限のクリエイティブが生まれ、さらにはクライアント企業のビジネスを無限に成長させることができるという想いを込めている。
4つのAIにより広告クリエイティブ制作プロセスを革新
1.訴求軸発見
ウェブサイトやSNSなどの豊富なデータソースをAIが読み込み、人の心の琴線に触れるような訴求ワードを複数抽出することで、これまで気付けなかった訴求ポイントを発見する。
2.クリエイティブ生成
AIの一部に文章生成言語モデル「GPT-3」を用い、より自然な言語で広告クリエイティブに使うコピーを自動生成する。最終仕上げは、クリエイティブのスペシャリストが行う。
3.効果予測
各種広告配信プラットフォームへの出稿データをもとに、クリエイティブを構成するさまざまな要素と、インプレッション数、クリック率、コストなどのさまざまな指標との関係性を学習させた予測AIによって、改善効果を予測する。
4.改善サジェスト
改善対象となる広告クリエイティブを自動で特定し、複数の改善案を提案。PDCAをスピーディーに回すことが可能となる。
「∞AI(ムゲンエーアイ)」は、電通デジタルと電通が構成する国内電通グループの横断組織「電通クリエイティブインテリジェンス」の取り組みの一環として、同社AIスペシャリストの監修や電通グループのAIカンパニーであるデータアーティストが開発に関わっている。電通デジタルでは2023年4月にデータアーティスト社を合併し、そのケイパビリティを有すことでAI技術開発力をさらに強化しながら、継続的に同ツールの機能を拡張していく予定。なお「∞AI(ムゲンエーアイ)」は、現在一部企業へ先行提供をしている。
今後も電通デジタルは、AI技術を用いたクリエイティブの創造と、生活者のインサイトを徹底的に深堀した新しいサービスの開発・提供を通し、クライアント企業の事業成長に貢献していく。