noteは2022年12月21日(水)に、東京証券取引所グロース市場に上場。上場記者会見に登場した同社代表取締役CEO・加藤貞顕氏は冒頭で、日本におけるコンテンツ産業の課題に言及しながら、事業の背景を改めて説明した。
「コンテンツ産業は、クリエーション、ディストリビューション、ファイナンスの3つが上手くいくと循環が生まれます。その結果、事業も進み、新しいクリエイティブも盛り上がっていく。たとえば新聞であれば、クリエーションは新聞社が、ディストリビューションは販売店が担うなど、ディストリビューションやファイナンスが上手く回ることで、日本のコンテンツ産業は盛り上がってきました。
一方、インターネットによって大きく変わりつつあるのが現代です。クリエーションは、広く誰でもしやすくなった半面、ディストリビューションとファイナンスには大きな課題があると感じていました。現在はSNSがディストリビューションのひとつの手段となっていますが、炎上やSEOによる検索をはじめさまざまな問題があります。
もうひとつ大きいのがファイナンスです。ネットのファイナンスというと、今までは広告が主軸でした。最近は課金も盛り上がりつつありますが、当社が創業した2011年はファイナンスといえば広告のみ。それだけだと収益性も低く、みんながクリエーションを続けることは難しい状況でした。そのため、ファイナンスのための仕組みの整備、とくに課金を中心に取り組む必要がある思い、noteの事業が始まりました」
上場に至った背景については「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションに触れながら次のように語った。
「我々は、メディアというよりも『プラットフォーム上で、ユーザーの皆さんがメディアを運営している』といったイメージのため、よりプラットフォームとして広く使ってもらう場にするための規模感を目指すことを考えると、上場という手段がいちばん適しているのではないか。そう考えたことが大きいです。資金調達や信頼獲得、さまざまな仕組みの整備によって会社を強くするなど、noteというプラットフォームを誰でも使うことができるようにするためには、この選択しかないと思いました」
また本記者発表会で加藤氏は、将来的にはグローバル展開も視野に入れていることを明言。「メディアやクリエイターをめぐるエコシステムがインターネット上にないという課題は、日本だけではなく、世界でも同じ課題が存在しているのではないか」と言及し、「我々も道半ばではありますが、体をなしている会社もまだないと思いますし、我々がやっていくべきことだと認識しています」とコメントした。
今後は、「CtoCのサービスを利用してもらうほど法人事業の魅力も増していく性質をもっているため、CtoCの事業を伸ばしていくことが基本の成長戦略」であると加藤氏。同社は引き続き、だれもが創作をはじめて、それを続けることのできる、創作のインフラ構築に努めていく。