朝日新聞社は、昨年12月にオトナルと共同で実施したポッドキャストの利用実態調査の概要を、「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2022」として公開した。
インターネットラジオのひとつである「ポッドキャスト」は、音声配信およびインターネットで音声コンテンツを聴く方法として、世界的にも代表的な手法のひとつである。
オトナルと朝日新聞社では共同で、国内のポッドキャストの使用状況を把握しポッドキャストユーザーへの理解を深めることを目的に、2020年から「ポッドキャスト国内利用実態調査」を行っている。
今回はその第3回として調査を実施。その調査結果を、利用率、利用シーン、利用方法、ほかメディア比較などでまとめた「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2022」として公開した。
ポッドキャストの国内利用率は15.7% 15~29歳は4人に1人以上がポッドキャストユーザー
一般ユーザーを含めた10,000人を対象にした調査では、月間のアクティブユーザーに該当する、ポッドキャストを1ヵ月に1回以上使用する人の割合は15.7%だった。このことから国内ユーザー数は1680万人と推計される。とくに15~29歳は調査対象の28.1%となり、この年代においては4人に1人以上がポッドキャストユーザーであることがわかった。
ポッドキャストユーザーの39.6%が20代以下 朝ポキユーザーは20代以下が約半数、30代以下が3分の2
年代の比率では、ポッドキャストユーザーの過半数を39歳以下が占め、15~29歳が39.6%、15~39歳が56.8%に。性別では女性よりも男性(57.8%)が多い結果となった。
また、朝ポキユーザーへの調査(n=230)では、半数近くの46.5%が15~29歳、65.7%が15~39歳で、ポッドキャストユーザー全般よりさらにユーザー層が若いことがわかった。
ポッドキャストユーザーの14.9%、朝ポキユーザーの2割は企業の意思決定層
ポッドキャストユーザーの職業に関する調査では、非ユーザーと比較してビジネスパーソン(フルタイムの就労者)が多い傾向がみられる。とくに経営層、管理職などの企業における意思決定層は非ユーザーが9.6%に対し、ポッドキャストユーザーでは、14.9%だった。学生の比率も、非ユーザーが3.2%に対し、ポッドキャストユーザーは7.9%で、多い傾向がみられた。
朝ポキユーザーは、企業の意思決定層が20.0%、ビジネスパーソン(フルタイムの就労者)が82.7%で、ポッドキャストユーザー全般よりさらに多くなっている。また、医師・弁護士などの資格業の朝ポキユーザーは8.0%で、ユーザー全般(5.3%)、非ユーザー(2.8%)と比べて顕著に多くなっている。
ポッドキャストユーザーは情報感度が高い 違う意見への受容性、新サービスや流行への感度が大きく上回る
情報感度に関する質問では、前回までの調査同様に、非ユーザーに比べてポッドキャストユーザーのほうが、感度が高い結果に。とくに「製品や新しいサービスを取り入れるのが人よりも早い」「新しい流行について人に聞かれることが多い」という項目は、それぞれ非ユーザーより2倍以上高い結果となり、ポッドキャストユーザーは新しい情報に対し高いアンテナを持っていることがうかがえる。
朝ポキユーザーは、ユーザー全般よりさらに「製品や新しいサービスを取り入れるのが人よりも早い」と「新しい流行について人に聞かれることが多い」の項目でポイントが高く、新しいものごとに積極的であることがみてとれる。また、「自分と違う意見も積極的に触れるように心がけている」が70.4%で、ユーザー全般(59.2%)、非ユーザー(43.6%)と比べて情報に対するバランス感覚が高い傾向にあった。
ポッドキャストを聴く方法はSpotifyが41.8%でトップに サービスごとの年代傾向も明らかに
ポッドキャストを聴く方法(聴く際に使うプラットフォーム)は、Spotifyが41.8%で、前回(34.9%)に続きもっとも高い利用率に。続いて高い順にApple Podcast(22.2%)、Amazon Music(19.8%)、Webサイト(15.4%)、Google Podcasts(9.9%)となった。
またプラットフォームごとの年代傾向では、Spotify、Apple Podcast、Amazon Musicが15〜39歳で半数を超えるのに対し、Webサイトでの利用は50代以上で過半数を占めるなど、プラットフォームによって利用する年代に違いがみられる。
ポッドキャストを聴くシチュエーションは、反映就寝前と移動中の聴取が増加
ポッドキャストを聴くシチュエーションでは、前回は上位だった「家事中」や「趣味の作業中」が減少し、「就寝前」(29.7%)、「歩いている時」(23.5%)、「公共交通機関」(22.6%)、「車の運転中」(22.4%)などが上昇。通勤やオフィス勤務を主軸としたコロナ禍以前の生活に戻りつつあることが、ポッドキャストの聴取シチュエーションにも影響していると考えられる。
最人気の番組ジャンルは40代以上は「ニュース」、15〜39歳は「コメディ/お笑い」
普段聴いているポッドキャスト番組のジャンルを挙げてもらったところ、全体では「ニュース」(33.4%)が1位、「コメディ/お笑い」(30.4%)が2位となり、とくに高い傾向がみられた。
年代別では、40代・50代・60代ユーザーにもっとも人気なジャンルは「ニュース」、15〜29歳・30代ユーザーにもっとも人気なジャンルは「コメディ/お笑い」。前回からの比較では、「音楽解説」「ビジネス」「アート」のポイントが上昇している。
「動画視聴と比較して疲労感を感じることがない」などの声も
「ポッドキャストを聴いてよかったこと」についての自由回答では、「手が空いてなくても、耳で情報を得られる」「家事の時間を有効活用できる」など、音声ならではの「ながら聴き」の機能性を評価する声が多くあった。
また「動画視聴と比較して疲労感を感じることがない」「テレビを見て聴くよりも耳だけで聴くので、頭に入りやすいし、記憶に残る」などの動画コンテンツと比較した意見もみられた。
ポッドキャストユーザーの13.5%がポッドキャスト配信経験者 30代以下が8割を占める
ポッドキャストユーザーにポッドキャストの配信経験を聞いたところ、13.5%(81人)が「経験がある」と答えた。そのうち15~29歳は63.7%、30代は18.4%となり、ポッドキャスト配信経験者の8割が30代以下のユーザーであることがわかった。
朝ポキユーザーは、3割がポッドキャスト番組の配信経験があり、ポッドキャストユーザー全般の配信経験比率を大きく上回っている。
番組に対しての行動 20代以下は「番組のグッズを買う」「おたよりを送る」、30代・40代は「イベントに参加」
ポッドキャスト番組に対して行ったことのある、または今後行いたい行動について調査したところ、20代以下のユーザーでは、グッズの購入やおたよりなどに積極的な「推し活」のような行動の傾向が見られた。一方の30代ユーザーでは、イベントへの参加、リスナー間での交流、配信者とのSNS上 や直接対面しての交流など、距離感の近さを求めている傾向がある。
朝ポキユーザーは、ユーザー全般よりも番組へのコミットが総じて積極的である。番組イベントへの参加、SNS上やイベントでの配信者やリスナーとの交流にとくに関心が高い傾向がみられる。
朝ポキユーザーの3分の2がポッドキャスト情報を元に一定頻度で商品・サービスを購入
ポッドキャストで聴いた情報について、ユーザーの64.4%が一定の頻度で検索を行い、40.6%が一定の頻度で購入をしている。さらに朝ポキユーザーに限ると、82.9%が検索を行い(ユーザー全般+18.5ポイント)、65.2%が購入をしている(ユーザー全般+24.6ポイント)。ポッドキャストで得た情報に対して、積極的な行動を取るユーザー像がうかがえる。
ポッドキャストの利用率15.7%がTikTokの利用率8.3%を上回る結果に
2022年に調査された他メディアの利用率データ(NTTドコモモバイル社会研究所「2022年一般向けモバイル動向調査」2022年1月調査より)と比較すると、同調査のポッドキャストの利用率(15.7%)が、TikTok(8.3%)やmixi(3.2%)の利用率を超える結果となった。
YouTubeユーザーよりもポッドキャストユーザーのほうが15〜29歳の若年層率が高い
10,000人を対象にした今回の調査で、YouTubeを月1回以上使用するユーザー(8,103人)に比べ、ポッドキャストユーザー(1,567人)は、15〜29歳の若年層の比率が高い傾向にあることがわかった。
調査概要
- 実施時期:2022年12月16日(金)~12月17日(土)
- 調査方法:インターネット調査
- 調査地域:全国
- 調査対象:15~69歳の男女、全体調査10,000人、ポッドキャストを月1回以上聴く人への調査600人(人口構成比に準じてウェイトバック集計を実施)