アドビ、企業向けとなる「Adobe Firefly エンタープライズ版」の提供を発表

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2023/06/09 08:40

 アドビはデジタルエクスペリエンスカンファレンス「Adobe Summit EMEA 2023」を開催し、強力なジェネレーティブAIを搭載した新たなソリューションとして、Adobe Fireflyを企業向けに提供することを発表。

 「Adobe Firefly エンタープライズ版」は、急増するデジタルコンテンツ需要やその展開規模に企業が対応し、コストを抑えながらコンテンツ制作を簡素化・加速できるように設計されている。これにより、クリエイティブなスキルのレベルを問わず、組織のすべての従業員がAdobe Fireflyでブランディングに沿ったコンテンツを生成し、Adobe ExpressやAdobe Creative Cloudで編集できるようになる。

 今回発表した新サービスはAdobe Creative Cloud、Adobe Express、CMSソリューションであるAdobe Experience Managerを使う数百万人の企業ユーザーに、安全に商業利用できるジェネレーティブAIによる画像作成・編集機能を提供する。また、Adobe Express経由で提供される、高品質なテンプレート、フォント、ストック画像、動画、音楽などのコレクションからインスピレーションを得ることにより、魅力的なコンテンツを作成することができる。

 アドビのデジタルメディア事業部門代表のデイビッド ワドワーニ(David Wadhwani)氏は、次のように述べている。「企業のリーダーは、今後2年間でコンテンツ需要が5倍に増加すると予想しており、社内におけるコンテンツ制作の効率化は必須といえます。今回発表したエンタープライズ版は、あらゆるスキルレベルのすべての従業員が、Adobe Fireflyを使って瞬時にアイデアをコンテンツとして形にするだけでなく、Adobe ExpressまたはAdobe Creative Cloudを併用してアセットを素早く修正し、際立つデザインを作成することを可能にします。」

 ユーザーはAdobe Fireflyにアクセスできるようになり、企業は今後自社が所有するブランド資産でAdobe Fireflyをカスタムトレーニングし、自社のエコシステムに組み込むことが可能になる。また、APIを使ってブランド独自のスタイルやブランド言語でコンテンツを生成し、自動化を推進することもできます。Adobe Fireflyは、安全に商業利用できるように設計されており、アドビから知的財産(IP)の補償を受けることができるため、企業は安心して本ソリューションを組織全体に導入することができます。Dentsu、IBM、Mattelなど数百の企業がすでにアドビと協力し、Adobe Fireflyを活用した効率化の促進とコンテンツ サプライチェーンの加速に取り組んでいる。

商業利用可能なコンテンツ

 Adobe Fireflyは、商業的に利用可能なプロ品質のコンテンツを迅速に生成できるエンタープライズ向け製品。Adobe Fireflyの初代のモデルは、Adobe Stockの画像、オープンライセンスコンテンツやその他著作権が失効したパブリックドメインコンテンツでトレーニングしている。Adobe Stockに収録されたライセンス画像は、Adobe Fireflyがほかのクリエイターやブランドの知的財産(IP)をもとにしたコンテンツを生成しないことも保証されている。

 2023年3月の提供開始以来、Adobe Fireflyベータ版のユーザーは2億枚以上の画像を生成している。また、Adobe Photoshopのユーザーは、Adobe Fireflyを搭載した新機能「ジェネレーティブ塗りつぶし」を使い、2週間で1億5,000万枚以上の画像を生成した。

コンテンツの信頼性

 ジェネレーティブAIが日常生活に浸透するにつれ、消費者はコンテンツが人間によって作られたのか、AIによって生成されたり編集されたりしたのかを知ることを要求するようになった。Adobe FireflyはジェネレーティブAIが使用されたことを示すコンテンツクレデンシャルタグを自動的に付与するため、Adobe Fireflyを使って作成された画像すべてにより透明性が組み込まれることになる。コンテンツクレデンシャル機能は、コンテンツの名前、日付、作成に使われたツールなどの情報、および加えられた編集の内容を示し、デジタルコンテンツの「成分表示ラベル」の役割を果たす無料のオープンソースツール。これらの情報は、コンテンツの使用、公開、保存といったすべての局面においてコンテンツに関連付けられたままとなり、適切な帰属表明を可能にし、消費者がデジタルコンテンツの真正性について十分な情報を得た上で判断できるよう支援する。コンテンツクレデンシャルは、コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)とその1,000以上のメンバーとの協力のもと、アドビが設計したもの。

提供開始時期

 Adobe Fireflyエンタープライズ版の提供は2023年下半期を予定している。