矢野経済研究所は、国内外のXR(VR/AR/MR)および360度動画市場を調査し、地域別世界市場、XR機器の製品別出荷状況などXR・360度動画市場の将来展望を明らかにした。ここでは、XR(VR/AR/MR)対応のHMDとスマートグラスの国内出荷台数予測を公表する。
市場概況
2022年のXR(VR/AR/MR)対応のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とスマートグラスの国内出荷台数は合計で38万台であった。コロナ禍における人材不足などの影響で製造業、建設・建築業、医療分野などで教育や研修、実務トレーニングのアプリケーション(コンテンツ)需要が増加したことから、XR機器(HMD・スマートグラス)も好調であった。
注目トピック
新世代XR機器の発表
これまでのXR機器(HMD・スマートグラス)は市場拡大を主導するまでには至らなかったが、2023年下期から2024年に掛けては、米国大手企業から期待のかかる新製品が相次いで導入される予定。
これらの新製品は従来品と比較し大幅な性能向上はもとより、小型化、軽量化され、MR(Mixed Reality:複合現実)にも対応するものや、高価ではあるものの、最新の半導体やディスプレイを搭載し、さまざまなコンテンツの再生に対応し、モバイル端末などの関連機器との連携を図るものなど、いずれも消費者への訴求力が高い製品とみる。こうしたXR機器の導入により、開発事業者によるアプリケーション開発が活発化する可能性が高く、国内のXR(VR/AR/MR)市場の本格的な立ち上がりに向けた環境整備が急速に進むことが期待される。
将来展望
2023年のXR(VR/AR/MR)対応のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とスマートグラスの国内出荷台数は合計で49万6,000台を見込む。
2023年は新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により行動制限がなくなることから、さらなる需要拡大を見込む。企業向けでは製造業、建設・建築業、医療、サービス業などで教育・研修アプリケーション(コンテンツ)のさらなる利用が拡大するとみる。また旅行・観光、イベント関連での需要があると考える。消費者向けではVRゲーム、動画配信を中心に需要拡大が続き、テーマパークなどでの導入が拡大されるとみる。
今後はXRとの親和性の高いメタバース(インターネット上に構築された3次元の仮想空間)に関心が高まるとみられ、XR市場拡大の一因になることが期待される。
調査概要
- 調査期間:2023年1月~4月
- 調査対象:国内外HMDメーカー、XRコンテンツ開発企業、半導体メーカー、ODM(Original Design Manufacturing)/EMS(Electronics Manufacturing Service)企業、アミューズメント企業など
- 調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailなどによるヒアリング調査および文献調査併用