リアルタイム 3D(RT3D)コンテンツの製作・運用のためのプラットフォームであるUnityは、年次カンファレンス「Unite」で、ゲーム開発者がビジョンを実現し、ゲームを成功させるためのサポートを強化するために設計された新しいAIイノベーションとプラットフォームを発表した。これには、コンテンツ制作を簡素化する一連のAI搭載機能Unity Museの早期アクセスの提供、2024年にリリースされる同社の次の主要なリリースUnity 6(旧名 2023 LTS)の公開、開発者が異なるプロジェクトやパイプラインにわたるコンテンツを整理するのに役立つ、コネクテッド製品やサービスのプラットフォームであるUnity Cloudの発表などが含まれる。
同社は今年初めに、AIを搭載したプラットフォームUnity MuseとUnity Sentisのクローズドベータ版の提供開始を発表した。今回、Unity Museは早期アクセスを開始し、コンテンツ制作を簡素化することを目的とした、一連の機能を提供する。
- Muse Chatでは、Unityに関する最新情報やUnityのリソースを入手し、実用的なコードを取得可能。
- Muse Spriteでは、2Dスプライトと複数のバリエーションを作成可能。
- Muse Texturesでは、高品質の2D・3D対応テクスチャを生成可能。
SpriteとTexturesは、Unityが所有する、またはライセンス供与を受けたデータと画像のみを使用してトレーニングされた、カスタムビルドのディープラーニングモデルによって動作する。このため、データセットには人物やロゴ、認識可能なアートスタイルが含まれない。
Unity Museは、スタンドアロン製品として月額30ドルで利用が可能。サブスクライバーは、開発者がコードなしでキャラクターを動かすことができるMuse Animate、キャラクターのインタラクションを設定できるMuse Behavior、ラピッドプロトタイピングとチームコラボレーション用3DキャンバスのMuse Sketchなど、プレリリースで今後提供される機能にも優先的にアクセスできる。
Unity Museは開発者のワークフローを効率化するが、Unity Sentisは開発者が複雑なAIデータモデルをUnityランタイムに取り込み、AIモデルを使用した複雑なタスクの処理やゲーム内で新しい機能を作成できるようになる。Unity Sentis(現在オープンベータ版)は、2024年にUnity 6とともに一般提供される予定。
Unity 6は、2024年にリリースされる同社の次の主要なソフトウェアリリース。パフォーマンスの大幅な向上をもたらし、高品質なビジュアルの実現、マルチプレイヤーゲームの制作とスケーリングの高速化、AIサポートの強化、次世代モバイル機能、革新的なVRデバイスのサポートなど、開発者の可能性の限界を押し広げる能力を提供することを目的としている。また、Unity 6は、より大規模でリッチな世界を可能な限り効率的に制作するために、ビジュアルクオリティの限界を押し上げる。
さらに同社は、開発者の共同作業をサポートし、異なるプロジェクトやパイプラインにわたってコンテンツを整理し、複雑な開発ライフサイクルに秩序をもたらす、新しい一連のコネクテッドツールUnity Cloudを発表。現在早期アクセス中のUnity Cloudでは、コラボレーション、アセット管理、チーム管理の新機能が提供される。Asset Manager、Version Control、Unityエディター(またはそのほかのエンジン)の統合により、チーム間で、または開発ライフサイクル全体におけるコンテンツのワークフローが容易になる。同社の Personal、Pro、Enterprise、Industryのサブスクライバーは、Unity Cloudにアクセスできるようになる。
同社は今年の初めに、AppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)において、PolySpatialの紹介とともに、Apple Vision Proプラットフォームサポートを発表。また、クローズドベータ期間中には、145ヵ国の開発者に参加してもらい、フィードバックを得た。UnityはUnity PolySpatialへのアクセスを含むvisionOSベータプログラムを、Unity Pro、Enterprise、Industryの全サブスクライバーを対象に公開。このプログラムにより、Unityのエディターとランタイムを使用して、Apple Vision Pro向けの新世代の空間体験を作成するためのアプリを構築できるようになる。