乃村工藝社、未来館アクセシビリティラボに加入しMRを活用した視覚障がい者を支援するコンテンツを制作

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2023/12/04 15:00

 乃村工藝社は、日本科学未来館が推進するコンソーシアム型研究室「未来館アクセシビリティラボ」(以下、アクセシビリティラボ)に加入したことを発表した。アクセシビリティラボは、視覚障がい者の未来の生活を支える技術の研究開発を専門機関と共同で取り組んでいる。

 アクセシビリティラボへの加入は、未来館が有する視覚障がい者のアクセシビリティ研究開発の知見と同社のクリエイティビティを融合させ、誰もが豊かに過ごせる空間づくりをともに研究開発していく取り組みのひとつ。加入第1弾としての取り組みは、空間の特定の位置にひもづけて音声情報を再生する複合現実(MR : Mixed Reality)技術を活用し、視覚に障がいのある人の展示体験をサポートする新たなコンテンツ制作となる。一般向けの実証実験を12月17日(日)に未来館で実施する予定。

 今回のコンテンツは、同社がGATARIの技術協力のもとで制作する音響体験サービス「oto rea(オトリア)」を初めて視覚障がい者の展示体験サポートに活用する。未来館が11月22日に公開した新常設展示「プラネタリー・クライシス」の一部を対象とし、利用者は自身の位置や動作に応じてメガネ型オーディオデバイスから流れてくる音声に従って移動。展示解説や体験方法などを聞きながら、大きな折れ線グラフの展示を触り近年の世界の平均気温の上昇を実感したり、大きさや重さが異なる木製のボールを比較しながら国や地域別の二酸化炭素排出量の違いを体感することができる。展示テーマに沿って音響演出も実施。参加者にはアンケートに協力してもらい、今後の開発に役立てる。

利⽤するMR技術と回遊型⾳響体験サービス「oto rea」について

 今回利⽤するMR技術はGATARIが開発した「Auris(オーリス)」というシステムで、VPS(Visual PositioningSystem)によって利⽤者が携帯するスマートフォンの画像から、その位置や向きなどを認識し、あらかじめ設定した⾳を再⽣することができる。⾳声情報はセンチメートル単位の精度で配置でき、単なる⾳声ガイドを超えた空間や体験の演出が可能なことが特徴。「oto rea」は、この「Auris」をプラットフォームに、乃村⼯藝社が制作・演出をおこなう⾳響体験サービスとなっている。

制作したコンテンツについて

 地球環境をテーマとした新常設展⽰「プラネタリー・クライシス」のうち、ゾーン2「変わる地球の今に触れる」の⼀部をめぐる。⼤きな折れ線グラフを触り世界の平均気温の上昇を実感したり、⼤きさや重さが異なる⽊製ボールを⽐較しながら国や地域別の⼆酸化炭素排出量の違いを体感したりしながら、変化する地球の今と未来を理解していく。最後には、地球環境に配慮した展⽰制作の⼯夫も紹介する。

 コンテンツには波の⾳や⾞のエンジン⾳などの体験内容に合わせた効果⾳も含まれており、単なる展⽰解説を超えた⾳響演出が行われる。