博報堂、生成AIを「イマジネーション」のために活用し生活者を深く理解するためのサービスプロトタイプ開発

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2024/03/25 06:30

 博報堂は、生成AIを業務効率化やクリエイションのためだけでなく、「イマジネーション」のために活用し、生活者を深く理解するためのサービスプロトタイプを開発した。

 本サービスは各分野で存在感の増していく生成AIを、博報堂のフィロソフィーのひとつである生活者発想を拡張するために活用し、DX本来の意味である、デジタル技術によって“生活をより豊かにする”ことにつなげられないかという思いから開発した。

 毎年7,000人に調査を実施している博報堂オリジナルの大規模生活者調査データベース「HABIT」と生成AI技術をかけあわせ、7,000タイプのバーチャル生活者を生成。HABITデータから生活者の基本プロフィール・価値観/意識・生活行動・消費行動・メディア消費・ブランド評価の情報を生成AIに読み込ませることで、7,000タイプの生活者を再現した。(※匿名化された調査データを基にしており、セキュアな環境で活用している)

 たとえば一般的に、部下が上司に対して等立場が違う人には深い本音は話しづらく、また初対面の場合短時間で心を開いてもらうのは難しいものだが、AIならばそのようなことはない。本サービスは、生成AIを活用して多様なバーチャル生活者をつくりだすことで、価値観・バイアス、状況等に左右されずに、忖度のないリアルな意見やニーズなど“あらゆる人の本音”を聞き出すことを目指している。バーチャル生活者との対話を繰り返し、商品・ブランドに関する感想や人間関係に関する悩みなどに耳を傾けることで、今後はマーケティング・商品開発をはじめ、組織づくり、アイディエーション、ワークショップといった多岐にわたる領域での活用を想定している。

 現在はプロトタイプとして博報堂社内で試験的に利活用・ブラッシュアップを行い、今後は対外的なサービス展開も見据えていく。

 また本サービスでは、バーチャル生活者のインサイトやペルソナ、カスタマージャーニーの把握、そして時間や場所、コストなどに制約のないユーザーインタビューを可能にする。さらに、メッセージアプリのようなやりとりによってバーチャル生活者の感情を引き出すメッセージUIや、複数のバーチャル生活者同士の会話を観察するようなカンバセーションUIなど、生成AIの可能性を最大限に引き出し、利用者のイマジネーションを刺激するUI/UXデザインにも注力した。

 開発にあたり、サービス開発やUXデザインの専門チームであるhakuhodo DXDと、高度なAI・データサイエンススキルを持つData Science Boutiqueが知見を活かし取り組んだ。外部パートナーとして、AI/IoTを活用したサービス開発の支援拠点であるMicrosoft AI Co-Innovation Labを利用。そしてAIのスペシャリスト集団である株式会社Laboro.AIと連携した。プロジェクトには、テクニカルディレクター・UXデザイナー・データサイエンティスト・アートディレクターなど多様な専門家が参画し、最先端の生成AI技術と博報堂の深い生活者理解を融合させて、本サービスを実現した。

 博報堂は本サービスを通じて、生活者の声を聴き、DXの本来の目的である「生活をより豊かにする」取り組みを推進していく。今後も博報堂は、生成AIを駆使し、人々の生活を豊かにする新たなサービスの開発に努めていく。