すべての経済活動のデジタル化を目指すLayerXは、AI・LLM事業部において、大規模言語モデル(LLM)を用いてドキュメントワークを効率化する、ノーコード・ノープロンプト生成AIプラットフォーム「Ai Workforce」をリリースした。また開発・営業にあたっては日本マイクロソフトと連携。システム基盤には Microsoft Azure を活用し、セキュリティと柔軟性の両立を実現する。
AI・LLM事業部では今後、プロダクトマネージャーやエンジニアなどの採用を強化し、エンタープライズ企業への提供を加速していく。
概要
LayerXは2023年11月、企業や行政のLLM(大規模言語モデル)活用を支援する、AI・LLM事業部の設立を発表した。AI・LLM事業部では、金融・医療等の分野において、エンタープライズ企業の顧客を中心とした取り組みを積み重ねてきた。その結果、実証実験(PoC)を超えて本番導入に進むケースが次々に生まれており、個別の顧客向けのソリューションではなく、LayerXのプロダクトとしての共通化を進め、今回プロダクトとして正式リリースする。
Ai Workforce (エーアイ ワークフォース) について
Ai Workforceは、文書処理業務を効率化するノーコード・ノープロンプトの生成AIプラットフォーム。PDFや Microsoft Word、Microsoft Excelなどのファイルを読み、情報を整理・転記したり、レビューを行う業務を効率化する。
AIが実用化可能な精度を達成するには、業務・ユースケースごとにアルゴリズムをチューニングすることが、多くの場合必要である。Ai Workforceでは、「AIワークフロー」として、個別の業務に対応したアルゴリズムを構築できる。AIワークフローはさまざまなモジュールやプロンプトテンプレートを組み合わせることができ、LayerXのR&Dによるベストプラクティスが詰め込まれている。
Ai Workforce上でAIワークフローを追加していくことで、ユースケースごとに別のシステムを開発する必要がなく、低コスト・高速にAI活用を進められる。
チューニングをしても、AIの出力に誤りが含まれる可能性は完全に排除できないため、人間が結果をレビューすることも重要である。Ai Workforceでは、AIの出力結果の根拠箇所を参照しながら結果を確認・修正することが可能。この結果をAIの精度向上に活用することもできる。
Ai Workforceのユースケースの例
AIワークフローを構築することで、Ai Workforceはさまざまな業界・分野の業務に活用できる。具体的には、次のユースケースでの取り組みが進んでいる。
- 銀行の融資稟議書の作成
- 決算・財務資料の読解と転記
- 医療分野の研究における、論文の横断的な分析・整理
Ai Workforceには今後、AIワークフローによる文書処理以外にもさまざまな機能・ユーザー体験を拡充していく予定。
日本マイクロソフトとの連携および Azure の活用について
Ai Workforceの開発・提供において、LayerXは日本マイクロソフトと連携している。金融機関などの高度なセキュリティが求められるケースで安心してAi Workforceを活用してもらうため、Azureを活用した安全なインフラを構築している。
とくにAi Workforceは Azure OpenAI Service を活用しており、入力したデータが言語モデルの学習に使われることはない。また、Ai Workforceはクラウドサービスとしての提供だけではなく、顧客側の Azureなどのクラウド環境にセットアップすることも可能であり、顧客のセキュリティポリシーに柔軟に対応する。
またAi Workforceの展開においても、日本マイクロソフトの営業チームと連携。AI・LLM事業部の開発・サポート体制も強化しながら、エンタープライズ企業のデジタルトランスフォーメーションを支援していく。