電通デジタル、3D空間メディアのマーケティング効果を測る新指標「ブランドイマーシブタイム」を提案

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2024/06/12 07:00

 電通デジタルは、電通グループおよび電通と協力して、メタバースなどの3D空間メディアのマーケティング効果と心理的影響を分析している。今回第1弾として「ブランドイマーシブタイム」という新しい指標を提唱し、顧客企業のマーケティングに活用するための検証を推進していく。

 メタバースの市場規模は、世界では2030年に123兆9738億円へ、日本では2026年度に1兆42億円まで拡大すると予測されている(総務省「令和5年版 情報通信白書」)。メタバース内での商品購入やバーチャル展示会、接客や教育など、多用途での活用が注目されているが、既存メディアと比較してユーザー行動が複雑であり、行動データの活用が困難でマーケティング効果を測定する確立された手法がないことが課題だった。

 今回、電通が昨年開催した「東京ゲームショウVR 2023」のメタバース空間での“実行動データ”と“アンケート調査データ”を、参加ユーザー単位で統合して分析できる環境を構築(※1)し、メタバース空間で広告を展開するほとんどの企業が商品・ブランドの展示ブースを設置している状況をふまえ、メタバースブースにおけるユーザー行動のより精緻な調査・分析を実施した。その結果、「チャット利用」「アバター装着」「スタンプ使用」など10項目の中で、「ブース滞在時間の長さ」が商品・ブランドの「好意度」「購買意欲」向上にもっとも寄与する要素であることがわかった。電通グループでは、この滞在時間(秒)に、没入度を左右するデバイスごとの係数(※2:VRで1.0、PCで0.7、スマートフォンで0.4など)を掛け合わせたものを「ブランドイマーシブタイム」と定義し、将来的な効果計測指標として、今後さまざまな3D空間メディアでの検証・測定を実施していく。

「ブランドイマーシブタイム」と「ブランド好意度」の相関
「ブランドイマーシブタイム」と「ブランド好意度」の相関

 これまでは、企業がメタバース空間での施策を判断する基準が明確ではなかったが、今後は「ブランドイマーシブタイム」をひとつの基準とすることで、滞在時間を延ばすコンテンツや演出の開発が可能に。これによりさらに効果的な体験設計が可能になる。

 今後も電通グループは、本指標の精緻化をはじめ、3D空間メディアのさまざまなマーケティング効果を検証・測定し、顧客企業の事業成長に貢献していく。

※1:グループ会社であるambrが提供している、メタバースプラットフォーム「xambr(クロスアンバー)」上に構築。

※2:有効視野角(水平30度、垂直20度と仮定)に占める各デバイスの画面サイズと、画面との距離をベースに設定。VRはすべて覆うので100%(係数1.0)とし、PC70%(係数0.7)、スマートフォン40%(係数0.4)とする。実際のコンテンツ内容やインタラクティブ性、音など他要素も加わってくるため、今後も引き続き本係数の精緻化に取り組んでいく。