森ビル、バスキュール、Visual Bank、生成AI向け学習用3D映像データセットの開発・提供サービスを開始

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2024/11/22 10:00

 森ビル、バスキュール、Visual Bankは、3社が参画する虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」の研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」が運営する「VOLUMETRIC VIDEO STUDIO」を開発拠点とし、生成AIの学習への活用などを想定した3D映像データセットの開発・提供サービスを開始する。

 「TOKYO NODE LAB」は時間と空間を丸ごと撮影して3Dデータ化するボリュメトリックビデオ撮影が可能な 「VOLUMETRIC VIDEO STUDIO」を運営している。本サービスでは、同スタジオをAI学習用の3D映像データの開発拠点として活用、ボリュメトリックビデオ技術で作成した3D映像データを学習用データセットとして商品化し、Visual Bankのサービス「Qlean Dataset 3D(キュリンデータセット・スリーディー)」を通じてAIの研究・開発現場に提供する。

 3Dデータは、エンターテインメント、ゲーム、AR/VR、自動運転、ロボティクス、製造、医療などの分野でのAI開発に必要とされているが、高品質な3Dデータの供給が限られているのが現状。

 TOKYO NODE LABは、本サービスを通し高品質かつ権利がクリアな3D映像データセットを提供することで、日本のAI開発が加速・発展することに貢献し、引き続き「新しい都市体験」の創出を推進していく。

TOKYO NODE LABが本サービスの提供を開始する背景

AIの隆盛と学習用の3D映像データ素材のニーズ拡大

 人工知能(AI)技術の進化のスピードは著しく、社会生活のさまざまな場面に活用されている。特に2022年以降は生成AIなどの技術革新が注目を集めている。

 そのなかでも海外を中心に、3Dデータを活用したAIモデル(人工知能を活用して認識や予測、生成などを行うプログラム)の開発が進みつつある。エンターテインメント、ゲーム、AR/VR、自動運転、ロボティクス、製造、医療など、さまざまな分野でAI学習用の3Dデータを活用することで、AIが物体の形状、動作、空間を深く理解し、高精度な認識・予測の実現や新しい生成機能の実現が可能となっている。

 一方で、現状では質の高い3Dデータの供給が限られているため、多くの企業が3Dデータの収集や作成などの準備に多大なリソースを割く必要がある。また、3Dデータの標準化やラベリングの不足、肖像権などの権利許諾、学習用にデータセットをカスタマイズすることの難しさも課題となっており、現在3Dデータ素材のニーズが拡大していると言える。

3D映像データの開発・提供によるAI開発現場の支援を目指した新サービス

 TOKYO NODE LABは、このようなニーズを背景に、AIの研究開発におけるデータの多様性と品質を確保し、イノベーションを加速させることを目的とし、日本市場に向けたAI学習用の3Dデータを提供するサービスを開始する。生成AIやマルチモーダルAI(画像・音・テキストなど、種類が異なる情報を組み合わせて扱うAI)での活用も念頭に、高精度で多様な3D映像データを提供することで、日本におけるAIの研究開発を支援していく。

サービス概要

 本サービスは、TOKYO NODE LABが運営するVOLUMETRIC VIDEO STUDIOをAI学習用の3Dデータの開発拠点として活用し、Visual BankのAI学習用データセット開発サービス「Qlean Dataset(キュリンデータセット)」を通じて3D映像データセットを開発・提供するもの。

 Visual Bankは開発した3D映像データセットの販売や、ユーザーのニーズに応じてオーダーメイドで3D映像データを開発するサービス「Qlean Dataset 3D」を新たに開始する。同サービスの開発拠点となるTOKYO NODE LABでは、3DデータセットによるAI開発により「新しい都市体験」の創出を加速することを目指していく。

VOLUMETRIC VIDEO STUDIO (ボリュメトリックビデオスタジオ)とは

TOKYO NODE LABに併設されるスタジオでは、最先端のボリュメトリックビデオ技術を採用し、自由に視点が変えられる3D映像の収録、編集、配信が可能。同事業は、キヤノン、日本アイ・ビー・エム、バスキュール、森ビルの4社が参画し、TOKYO NODE LABのひとつのプロジェクトとして計画段階から推進している。次世代のXR表現としてボリュメトリックビデオデータを必要とするお客様にご利用いただき、撮影から配信まで一貫したサポートを提供する。

Qlean Dataset(キュリンデータセット)とは

AI開発を加速するために、高品質かつ権利クリアなデータセットを開発するサービス。40年に渡る権利許諾の実績を持つアマナイメージズ(Visual Bankのグループ会社)が提供。画像・映像・テキスト・音声など多領域の「権利許諾済みデータベース」を基盤にデータセットを開発し、利用に応じた対価をデータ権利者に還元している。3社が連携して提供する『Qlean Dataset 3D』においては、データセットの企画・開発と販売機能を提供。