ロフトワークは、中小企業におけるデザイン経営実践に関する調査結果をまとめた報告書 「中小企業のデザイン経営〜経営者のビジョンが文化をつくる〜」を公開した。本調査は「平成31年度関東経済産業局補助事業(地域中小企業知的財産支援力強化事業)」の一環として実施。2019年6月より経済産業省関東経済産業局、「グッドデザイン賞」を主催する公益財団法人日本デザイン振興会の協力のもと、スノーピーク、ファミリアをはじめデザインを経営に活かし成果をあげる中小企業8社を選定し調査を進めた。そこで得た知見や考察をまとめている。
2018年5月に経済産業省・特許庁から「デザイン経営宣言」が公表され、「デザイン」を経営の資産として活用することで企業競争力を向上できると注目を集めている。現在、デザイン経営に関する情報は大手企業の実践が多く、中小企業に関しては十分な知見が共有されていない状況であった。中小企業は、日本における企業の99.7%を占め、日本の経済発展の鍵を握るといえる。本報告書を公開することで、より多くの中小企業がデザイン経営を取り組む一助となることを目指している。
デザイン経営実践の5つのポイントが明らかに
調査対象企業に共通している実践や経営者の意識、生まれた変化などから、デザイン経営を実践する中小企業の特徴を5つにまとめた。手引書として活用できるよう、実践のポイントも合わせて紹介している。
1.ビジョンを更新する
- 自分たちの存在意義について考える
2.経営にデザイナーを巻き込む
- 自分たちのありのままの姿をデザイナーに知ってもらう
3.組織の変革をデザインする
- 働く環境を変える
4.共創のためのコミュニティをつくる
- 1社ではできないことを可能にする共創の仕組みをつくる
5.文化を生み出す
- 伝統を未来につなぐ
デザインを経営に取り入れた各企業の具体的な変化も掲載
財務状況や社員の働きかたなどデザイン経営導入前と後の変化をヒアリング。従業員の平均年齢が9歳下がった事例や、新卒採用応募の増加、会員数が2倍に伸びているなど特徴的な変化をまとめて掲載している。
「中小企業のデザイン経営〜経営者のビジョンが文化をつくる〜」のダウンロードはこちら。
調査概要
- 調査期間:2019年6月〜2020年3月
- 調査方法:経営者へのインタビュー、Webや書籍を活用したデスクトップリサーチ、ィールドリサーチ
- 調査対象:株式会社恋する豚研究所、株式会社ジャクエツ、株式会社スノーピーク、株式会社たねや、株式会社パーク・コーポレーション、株式会社ファミリア、福永紙工株式会社、米富繊維株式会社(順不同)