フェーズによってどう変化するのか 事業のPMF期にデザイナーがとるべき4つのアプローチ

フェーズによってどう変化するのか 事業のPMF期にデザイナーがとるべき4つのアプローチ
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 「UI/UXデザイン」と言っても、事業規模によって取り組んでいる内容は大きく異なります。本連載では、事業のサイズや規模によって、どこに注力しながらデザインをしていくべきかについて、サービスデザイン、UXデザインを手がけるrootの代表取締役 西村和則さんに解説していただきます。第3回のテーマは、「事業のPMF期におけるデザイナーの役割」です。

 こんにちは。これまでの連載で、「創業期では限られたリソースの中で素早くPDCAを回し、何に注力すべきかの優先度を付けていくことが重要」であるとお伝えしてきました。

 では、事業のフェーズが変わった場合、デザインにはどのような違いが起こるのでしょうか。今回は、事業成長の分岐点であるプロダクトマーケットフィット(以降、PMF)前後のフェーズにフォーカスし、デザイナーの役割についてご紹介していきます。

プロダクトマーケットフィット(PMF)の捉えかた

 そもそも、PMF(Product/Market Fit)とはなにかというと、顧客の課題を満足させる製品(プロダクト、サービス)を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態のことを指します。

 事業においてPMFは、プロダクトとマーケットのニーズが噛みあったことを示しており、これを機にサービスは拡大路線へ展開していくことになります。ただし、実際現場で走り続けていると、「ここでPMFした」と明確にはわかりづらく、徐々に指標が伸びていくケースも多く見られます。

 各事業ごとに設定した定量目標が右肩上がりで伸び始めた際に、PMFしたとわかっていくのですが、当然ながらサービスによって判断軸は変化します。たとえば、過去にrootが経験してきたプロジェクトをBtoBとBotCで大きく分けてみても、PMFの判断軸は異なっていました。

BtoBサービスの場合のPMF

BtoBサービスの立ち上がり期では、身近なつながりからテストユーザーを探し、試験導入を繰り返しながらフィードバックを収集するサイクルを回しています。

機能改善や新機能の拡張を行い始めるのは、数社の初期顧客の導入が決定した段階から。さらに、新規顧客の獲得に力を入れるのは、利用継続できることがある程度見えはじめたタイミングからです。導入企業の規模や利用者数によってもユースケースは異なるため、拡大に合わせたインターフェイスや機能面の拡張が求められるようになっていきます。

PMFしたと実感を持てるようなフェーズになると、契約数や利用者数が指数関数的に推移し、積みあがっていく構造になります。

BtoCサービスの場合のPMF

BtoBと比較すると、BtoCサービスでは初期段階から顧客とのエンゲージメントが非常に重要な要素になります。BtoBのように属人的なアプローチで契約や課金を維持させることが難しいため、より本質的な体験価値に向き合わないと、PMFを実現することはできません。

BtoCでは、利用継続率やLTVなど、顧客が持続的にサービスと接続し使い続けてもらうための指標を重視する傾向が高いのではないでしょうか。 PMFを通過した時点では、一定数のリピートユーザーが定着しているうえに、クチコミなど自然発生的な流入が起こっている状態です。

BtoBに比べて拡大のスピードは圧倒的に早いため、プロダクト開発サイクルやデザイン改善についてもスピードを意識し、フォーカスを絞りながら改善を繰り返すことが重要です。

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