いま知っておきたい、ブランドの世界観を表現する海外ECサイト8選 ~デザインの現状と今後とは

いま知っておきたい、ブランドの世界観を表現する海外ECサイト8選 ~デザインの現状と今後とは
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 デザインのなかでもECサイトにフォーカスし、ECサイトに活かせるデザインの考えかたなどをお伝えしていく本連載。解説していただくのは、ECプラットフォームShopifyをベースとしたECサイト制作・コンサルティングを行っている、non-standard worldの佐藤昭太さんです。第2回は、「国内外のECサイトデザインと今後の可能性」がテーマです。

 こんにちは。non-standard worldの佐藤です。ECプラットフォームShopifyをベースとした、ヘッドレスコマースという次世代方式のECサイト制作を主に行う会社で、アートディレクター/デザイナーをしています。

 今回は、国内外のECサイトデザインと今後の可能性について考えてみたいと思います。

海外ECサイトに見られる多様な世界観の表現

 ECサイトの事例を国内と海外で比較すると、海外には、より個性のあるデザインが多いという傾向に気づきます。これは多くのブランドがECサイトをもつなかで、顧客に選ばれ、かつ継続的な関係を築くためには世界観が大切だと考えているからではないでしょうか。

 嗜好性の多様化により、やみくもに客数を増やして「広く浅く」愛されるより、ロイヤルカスタマーの購入回数を増やして「狭く深く」愛されるアプローチが重要になる時代。顧客と深い関係性を築く場として、世界観のあるECサイトのデザインは今後より重要になると考えています。

 コロナ禍により、物理的に非接触であるオンラインは、ブランドと顧客の接点としての重要性を増しています。顧客は、ECサイトを通じてブランドを体験していると言えるでしょう。オンライン体験のシェアが増えることは、相対的にオフラインの希少価値が上がるということでもありますが、いずれにせよ、オンラインとオフラインの一気通貫したブランディングはますますカギになっていくはずです。

 経済産業省のデータによれば、2019年時点で日本のEC化率は6%台。世界的に見てもまだまだ低い状況ですが、コロナ禍で加速したEC化率の増加は今後も続くと見られています。人々がECで買い物をする時代に、ブランドの世界観をきちんと伝え、ひいては五感まで刺激するデザインを実現できれば、そこには大きな可能性があるのではないでしょうか。

大切なのは「UIと世界観の表現を切りわけて考えること」

 国内のブランドにおいては、本体サイトとオンラインショップが別で存在しており、オンラインショップに遷移するとトーン&マナーの異なるサイトが突如出現することもまだまだ多いのが現状です。この背景には、ECカートのカスタマイズ性が低いことなど、技術的な制約もありました。

 しかし国内でも昨今急激に注目を集めているカナダ発のECプラットフォーム・Shopifyは、グローバルブランドの使用にも耐える堅牢なシステムでありながらもデザインの拡張性が高く、その気になればとても自由にデザインをすることができます。技術発展によって、これまでは諦めなければならなかったデザインの一貫性を実現できるようになりました。

 一方、一部では「おしゃれ過ぎるサイトは売れない」といった意見もあるように、デザインの重要性については議論の余地が残されているように思います。この問題について私は、UIと世界観の表現をわけてとらえるべきではないかと考えています。

 UIの観点では、顧客が迷わず購買までたどり着けること。世界観の観点では、ブランド哲学から一本の線でつながった世界観が表現されていること。この両立は可能だと思います。デザインが理由で売れないとしたら、UIに問題があるか、世界観がそのブランドの顧客とマッチしていないかのどちらかであり、問題を切りわけてから改善を行うべきでしょう。

 またUIの面でも、哲学を重視するブランドでは、フリクション(ひっかかり)をあえて残すことで、深く理解した人にだけ買ってもらうという考えかたもあります。今後UIデザインのアプローチも、さらに多様化する可能性がありそうです。

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