デザイナーの貢献できる領域はより広範囲に いまECサイトをデザインする4つの魅力とは

デザイナーの貢献できる領域はより広範囲に いまECサイトをデザインする4つの魅力とは
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 デザインのなかでもECサイトにフォーカスし、ECサイトに活かせるデザインの考えかたなどをお伝えしていく本連載。解説していただくのは、ECプラットフォームShopifyをベースとしたECサイト制作・コンサルティングを行っている、non-standard worldの佐藤昭太さんです。最終回となる第3回では、「デザイナーがECサイトを手がける魅力」がテーマです。

 こんにちは。non-standard worldの佐藤です。ECプラットフォームShopifyに特化した共創型デザインファームで、アートディレクター/デザイナーをしています。

 これまでECの分野は、技術的制約からデザインの可能性が限定されていました。ところがShopifyなどデザインの大幅なカスタマイズが可能なプラットフォームの台頭によって、デザイナーの貢献できるECサイトの裾野が広がっています。さらに次世代のEC技術といわれるヘッドレスコマースでは、フロントエンドがバックエンドのシステム上の制約から完全に自由になるため、デザイナーの貢献領域はより広範囲になっていくはずです。

 今回は、デザイナーにとってECサイトを手がける魅力について考えてみたいと思います。

魅力1.ビジネスのコアに関わることができる

 デザイナーがECサイトを手がける魅力のひとつは、ビジネスのコアな部分に深く関われるという点です。

 コーポレートサイトであれば問い合わせのコンバージョン、会員サイトであれば会員登録というコンバージョンが存在しますが、ECサイトのコンバージョンは購入であり、ビジネスの収益に直結しています。デザインが収益に直接影響するということは、責任が大きいと同時にやりがいがあるということ。クライアントのビジネスに深く関わりたい人にとっては、とても魅力的な仕事ではないでしょうか。

魅力2.デザインに完成がない

 ECサイトのデザインは「完成すること」がありません。市場環境や顧客の反応を見ながら、常に改善を行います。

 完成がなく常に改善を続けるというマインドセットは、グラフィックデザインのような完成がある仕事とは大きく異なるので、抵抗のあるデザイナーもいるかもしれません。しかしデザインの本質がコミュニケーションだとすると、エンドユーザーと対峙しながらデザインを行うECのプロジェクトはとてもエキサイティングです。

 これはウェブデザイン全般にも言えることですが、なかでもECサイトはとくに反応がダイレクトに数字として返ってくるのが魅力です。Google Analyticsを使えば顧客をセグメントで分けて反応を捉え、仮説だてと検証に活用することもできます。

 また、Hotjarのようなレコーディングツールを活用すれば顧客のサイト上での動きを記録して深い行動分析も可能です。レコーディングツールでは、画面上のユーザーの操作を隣で見ているかのように観察できるので、どういう順序で閲覧しているのか、どの箇所で迷っているのかなど、Google Analyticsでは見えない情報をも可視化することができます。反応がダイレクトにわかるのは、ECサイトデザインの醍醐味と言えるでしょう。

Hotjarの分析画面
Hotjarの分析画面

魅力3.理と情の両方が必要であること

 ECサイトのデザインは、数字に基づいた「理」と、顧客が買いたくなるようなブランドの世界観を表現する「情」の両方が求められるように思います。

 アクセス解析をもとに導き出した仮説をデザインに落とし込み、反応を数字で確認しながらチューニングしていくこと。一方で顧客が素敵だと感じる世界観をこちらから提示し、ここで買いたいと思わせるようなデザインを追求すること。

 両者の適切なバランスを見極めながら形に落としこむことは、ECサイトならではのおもしろさです。効率的に売上を伸ばすには理のアプローチが重要ですが、理だけで人は動かないもの。UIデザインのような合理的な視点だけでなく、人の心を動かすことにも関心があるデザイナーにとってはやりがいのある仕事ではないでしょうか。

魅力4.技術とデザインが融合していること

 技術は日々進化しているので、デザイナーも理解を深めることで技術を活かしたデザインが可能になり、幅も広がります。

 ECは数週間で情報が古くなるほどのスピードで発展している分野。今後はより詳しいパーソナライズやAR、さらにはVRなどの技術も導入されていく可能性もあり、テクノロジーに関する情報のキャッチアップは必須といえそうです。

 とくにオススメなのは、EC先進国の欧米の技術トレンドを抑えておくこと。情報収集におすすめなのはTwitterです。EC、テック分野のキーパーソンをフォロ—することで、タイムラグなく技術トレンドをキャッチアップすることができます。下記の図は、私が実際にフォローしている識者です。

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